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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科20巻2号

1966年02月発行

文献概要

特集 第19回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 〔学会講演〕

Heterochromic cyclitis (Fuchs' syndrome)について

著者: 内田幸男1 北室友也1 田村修1

所属機関: 1徳島大学医学部眼科

ページ範囲:P.183 - P.188

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I.緒言
 毛様体炎を伴なう虹彩異色はFuchsの名を冠して呼ばれる。最近はSyndromeとしてFuchs症候群とも云われるが,ここでは以下これを用いる。従来欧米,殊に欧州の諸国ではその報告も多く,発表された症例数は数百に及んでいる。これに反し我国では稀とされ,神作1)楠原2)の各1例と,それと疑われる庄司の1例3)計3例の報告を見るに過ぎない。また我国でなされた葡萄膜炎の分類に関する論文の中に本症候群の項目は見出されない。果して本症群は邦人の間には極めて稀なものであろうか。確かに疾患によっては人種,地域の差などによつて発生頻度を著しく異にするものもある。しかしまた一面その疾患がその地域で注目されているか否かということ,或るいはまた診断の基準が同一でないなどのことが発生頻度の上に見かけ上の相違をもたらすことも当然起りうることであろう。
 本症候群はKurzes Handbuch (1930)4)中の分類では葡萄膜炎の0.8%であり,Kimuraら5)は1949〜1950の間に750例の葡萄膜炎のうち2%を占めて,重要な一つのClinical entityであるとしている。これらは葡萄膜炎全体に対しての比率であり,若しこれを前部葡萄膜炎(虹彩毛様体炎)の中でということになれば比率は更に大きいものとなるであろう。葡萄膜炎の原因をつきとめるのには多くの困難を伴ない,病因による分類を行なうのも容易でない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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