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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科20巻2号

1966年02月発行

特集 第19回日本臨床眼科学会講演集 (その1)

〔学会講演〕

Cytomegalic inclusion diseaseにおける網膜の病変,電子顕微鏡による観察

著者: 塚原勇1 上野一也1 川西秀穂2

所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室 2京都大学医学部病理学(Ⅱ)教室

ページ範囲:P.189 - P.191

文献概要

 Cytomegalovirusによる感染は,局所感染と全身感染があるが,しばしば問題になるのは全身感染で,しかも新産児に起ることが最も多く,先ず小児科医,或は病理学者に興味をもたれた。患児は未熟,貧血,栓球減少,黄疸,肝脾腫,神経症状など多彩な症状を示すが,眼科医がこの病気に関心を持ちはじめたのはしばしば網脈絡膜炎を伴い,又,頭蓋X線撮影で石灰沈着をみとめるので,Toxoplasmosisとの鑑別という理由の為である。網膜,脈絡膜の変化については,剖見時の眼球の組織検査の結果に関する記載が多いが1)−3),成人における本症の眼の所見の記載4)もある。Cytomegalovirusの感染による網膜の変化は,壊死,出血を伴う網膜の破壊であるが,最も特徴的な所見は,核内封入体をもつ単核の大きな細胞が多数見られることである。この細胞の大きさは20-35μであり,核内封入体の大きさは5-10μで,核内封入体は好塩基性で,封入体と核膜との間には透明な輪が介在する。この大きな細胞の他に,しばしば淋巴球の浸潤が見られる。脈絡膜にも同様な核封入体をもつ大きな感染細胞が見られ,脈絡膜血管腔の中にも現われる。
 私共は最近Cytomegalovirus感染症による網膜,脈絡膜の病変を見る機会があり,更に電子顕微鏡によつてその病変の一部を観察することが出来た。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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