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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科20巻5号

1966年05月発行

文献概要

特集 第19回臨床眼科学会講演集(その4) 学会講演集

眼窩壁骨折について

著者: 深道義尚1 篠塚清志1 庄司準1 岡本途也2

所属機関: 1関東労災病院眼科 2関東労災病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.717 - P.719

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 先に私達は,従来外傷性眼球陥没症として報告されている大部分の症例が,眼窩底骨折によるものであることを指摘し,上顎洞内よりの整復法を発表した。この整復法により,眼球陥没が軽快し,複視の殆んど消失した症例も認められるが,多くの症例に於ては,眼球の陥凹が残り,複視も軽減するのみで消失をみない状態であつた。これらの症例や,その後の症例を詳細に検査すると,眼球の陥凹は眼窩底骨折のみで起るのではなく,外側壁,外下側壁の骨折により起ることが多いことが判明した。従つて外傷後の眼球の陥没は,広く眼窩壁の骨折転移による眼窩内容積の増大が原因であると考えるべきである。眼窩を構成する骨は,前頭骨,頬骨,上顎骨,篩骨,蝶形骨並に涙骨であるが,これらの骨が単独に骨折を起こすことは極めて稀なことであつて,多くの場合2〜3の骨が同時に骨折するようである。又顔面正中部の骨折に際してはこの他に鼻骨々折を伴うことが多く,症状並に治療面で留意すべきことと考えられる。
 上顎骨々折に関しては古くよりLe-FortのⅠ,Ⅱ,Ⅲ型と呼ばれる骨折線が報告されており,そのⅡ,Ⅲ型が眼窩壁に関係する。然し,このような型にはまる典型的な症例は少なく,合同型と考えられるものや,その中間に属するものが多い。尚,左右対称的な骨折をみることは極めて稀なことのようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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