文献詳細
文献概要
臨床実験
諸種条件における全層角膜移植用保存角膜の電子顕微鏡的研究—(第1報)全眼球保存の家兎角膜上皮細胞の電子顕微鏡的観察
著者: 熊埜御堂晶1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.967 - P.982
文献購入ページに移動I.緒言
1945年以降欧米において眼球銀行が設立され,又本邦においても1963年眼球銀行が発足し眼球入手難が緩かになる傾向になつて来た現在,眼球の長時間保存という問題が大きく抬頭して来た。従来,角膜移植特に全層角膜移植においては死後48時間経過した眼球は使用不可能とされ,又眼球の入手時期が不明であるという2つの大きな制約を解決するには,摘出眼球角膜を長時間に及んで保存する方法の必要なことは云うまでもない1)2)。
この問題を解決するべく当教室では,全層角膜移植用保存角膜の長時間保存のための人工保存液の研究および保存法の研究に着手し,先ず保存液の基礎として当教室の坂上3)〜9)は眼組織間液,細胞内外液等の電解質の超微量定量法を考案し次で血漿中拡散性,透析性電解質につき新しく考案した超炉過装置を用い検討を加え,更に髄液中,側脳室内Choroid plexus fluidの電解質分析およびCisternal fluidの電解質分析,毛様体新生房水,後房水,前房水中の電解質分析を行ない,それらの実験成績を基礎として保存液の主体をなす平衡混合塩類液(仮称Ks溶液)を作成した。
1945年以降欧米において眼球銀行が設立され,又本邦においても1963年眼球銀行が発足し眼球入手難が緩かになる傾向になつて来た現在,眼球の長時間保存という問題が大きく抬頭して来た。従来,角膜移植特に全層角膜移植においては死後48時間経過した眼球は使用不可能とされ,又眼球の入手時期が不明であるという2つの大きな制約を解決するには,摘出眼球角膜を長時間に及んで保存する方法の必要なことは云うまでもない1)2)。
この問題を解決するべく当教室では,全層角膜移植用保存角膜の長時間保存のための人工保存液の研究および保存法の研究に着手し,先ず保存液の基礎として当教室の坂上3)〜9)は眼組織間液,細胞内外液等の電解質の超微量定量法を考案し次で血漿中拡散性,透析性電解質につき新しく考案した超炉過装置を用い検討を加え,更に髄液中,側脳室内Choroid plexus fluidの電解質分析およびCisternal fluidの電解質分析,毛様体新生房水,後房水,前房水中の電解質分析を行ない,それらの実験成績を基礎として保存液の主体をなす平衡混合塩類液(仮称Ks溶液)を作成した。
掲載誌情報