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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科20巻9号

1966年09月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・115

日蝕性網膜炎

著者: 高尾泰孝

ページ範囲:P.1187 - P.1188

〔解説〕
 本症に関しては遠くsokuratesの昔から報告せられ,我国においても約100例以上の臨床報告例がある.しかし,眼底カメラによる本症の撮影例は我国においてはまだ報告がない.私は本症の1例を経験すると同時にその網膜の変化の撮影に成功したのでここに供覧する.

臨床実験

多発硬化症の2例と視神経疾患

著者: 桑島治三郎 ,   小島宮子 ,   針生アイ

ページ範囲:P.1189 - P.1195

Ⅰ.はじめに
 わが国では,多発硬化症の診断に抵抗が多く,本症診断の意義なども一般には理解されていない現状である。これには,昔わが国の本症否定論の影響が,いまなお残つていることと,他方,本症には定型がなく,従つて臨床診断のきめ手もないとされていることと,二つの条件が考慮される1)〜13)
 しかし,神経眼科学的には本症診断のきめ手をつかむことができる。つぎに,自験例でこのことを例証しておきたい。

全層角膜移植のための眼球保存液中に加える抗生剤としてのコリマイシンの効用について

著者: 坂上道夫

ページ範囲:P.1197 - P.1201

Ⅰ.緒言
 コリスチンとして命名され1950年小山氏等によつて発表された抗生剤としてのポリペプチッドはポリミキシンに近似した構造を有しているが,局所的応用面に於いて他の多くのポリペプチッド抗生剤グループを凌駕する特性を有している。又抗菌スペクトルは狭いがグラム陰性菌に対して特に効果を発揮する殺菌剤に近いものである。
 角膜移植に際して,感染症による最も憂慮すべきものは緑膿菌に起因するものであることは不幸にして事実である。

間歇性眼球突出の1例について

著者: 武田守久 ,   春山茂之

ページ範囲:P.1203 - P.1209

Ⅰ.緒言
 間歇性眼球突出は,それほどまれな疾患ではなく,本邦においても約30例の報告がある。
 最近われわれは本症の1例を経験し,種々検討したので報告する。

塩酸テトラハイドロゾリンの眼科的応用

著者: 錦織劭 ,   元村武夫 ,   松家多恵子

ページ範囲:P.1211 - P.1218

Ⅰ.緒言
 日常の眼科臨床に於いて,我々はしばしば,結膜の充血をみる事がある。この結膜の充血が細菌乃至アデノウイルスなどの感染による場合でも,あるいは,外傷またはアレルギーによる場合であつても,血管収縮剤を用い,この充血を取り去る事によつて,自覚症状の改善および治療的効果が期待される場合が少なくない。
 色々な有害な因子によつて,外眼部に障害が加えられると,まず,充血,不快感などが生じる。患者は,この際,しばしば目をこすり,その為,充血,不快感を一層強くする—と云う悪循環を招来する。臨床に於いて,この悪循環を何処かで断ち切る事は,治療上,極めて必要な事と考えられる。

フィブリノリジン(プラスミン)の点滴静注による網膜静脈並びに動脈閉塞症の治療成績

著者: 三国政吉 ,   木村重男 ,   新保信夫 ,   小川洋一 ,   今村仂

ページ範囲:P.1221 - P.1227

Ⅰ.緒言
 線維素溶解酵素(線溶酵素)はFibrinを分解する酵素である。本酵素剤は血栓・塞栓の溶解剤或いは凝血塊の吸収促進剤として用いられる。現在製品としてはPlasminを製剤化した精製人Plasmin製剤,線溶酵素系を賦活するStrepto—kinase, Urokinase製剤,蛋白溶解酵素のChy—motrypsin, Pronase, Ananaseなどが使用されている。
 今回私共の用いたフィブリノリジン−ミドリ(プラスミン)は,ミドリ十字KKにて新しく開発された精製人Plasmin製剤で,人血漿中のPla—sminogenを分離精製し,人尿から精製したUrokinaseで活性化したものである。従来精製Plasmin製剤としては,活性化剤としてStre—ptokinaseを用いたActase, Fibrinolysin Hu—man Lyovacなどが使用され,その有効性が認められていたが,今まで国産品はなかつた。

手術

翼状贅片ノ新手術法

著者: 金相龍

ページ範囲:P.1231 - P.1236

Ⅰ.緒言及ビ方法
 翼状片手術法ハ文献ニ依レバ百種以上ノ方法ガアルト言ハレルケレド現在マデニ完全ニ其ノ再発ヲ防止シ美容的ニスル方法ハ現ハレテイナイ状態デアル。従ツテ此ノ良性ナル疾患ニS90ノ如キ放射性物質ノ照射或ハ抗腫瘍剤デアル,テスパミンヤ,マイトマイシンノ点眼ガヨイト報ゼラレテイル。然シ此レ等モ手術後使用スルノデアツテ,ヤハリ手術自体ヲ適切ニヨクシナレバナラナイ。然シ此ノ放射性物質ヲ使用シテモ再発スルモノモアリ,此ノ物質ニ依ル併発症自体モ大ナル問題ニナル場合モアル。著者ノ経験ニモS90ヲ使用シタ後ニ再発シタモノガ手術前ヨリ一層醜形ヲ呈シ再手術モ不可能ニナツタ十数例ヲ観察シテイル,此ノ感ガ深イ。コノ頃本症ニ放射線障害トシテ放射線ヲ照射シタ後ニ角膜ニ損傷ヲ来シタ場合ハソノキズガ治リニクイト報ゼラレ,又白内障ガ発生スルト報ゼラレテイル。ソレハ勿論デセウ,放射線ニモツトモ敏感ナ水晶体ノ近クデ放射線ヲ使用スルカラデアル。ソレデ放射線使用後ノ再発ニハ再手術ヲ医師ガタメラウヨウニナル。勿論翼状片ノ成因(原因)ガイマダ不明デアルカラ理論的ニ的確ニ再発ヲ防止スル方法ノ発見モ困難ダト思フ。ケレド後天的ニ外部カラノ色々ナ刺激即風塵,日光,瞬運動共ノ他,機械的摩擦,特ニ半月皺壁ノ摩擦等長時日ノ集積デ出来ル瞼裂斑トモ同一ダト云フ事,又瞼裂斑ガ移行シテ,ナニカノ機転デ角膜内ニ進入シテ出来ルト云フ事ニツイテハ多ク学者ノ意見ガ共通シテイル。

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眼科点数表甲(その3)

ページ範囲:P.1238 - P.1239

眼科ニュース

ページ範囲:P.1239 - P.1239

Ⅰ.第2回眼光学学会開催と演題募集のお知らせ
1.日時昭和41年11月14日(月)午前9時より(臨床眼科学会の翌日)
2.場所東京虎の門教育会館

風見鳥ニュースNo.3

著者: 勝沼精蔵 ,   神田善吾 ,   萩野鉚太郎 ,   橋本義雄

ページ範囲:P.1277 - P.1277

第17回日本医学会総会のメッセージ
—分化と総合をめざして—
 "医学の祭典"といわれる日本医学会総会も、17回目を迎えて、明年昭和42年の春、名古屋で開催されることになりました。
 いうまでもなく、この総会は、日本の医学領域における最高の学術集会であって、現在及び将来にわたる医学研究の真価を世界及び社会に問う国際的規模のものであります。

境界領域対談

神経内科

著者: 豊倉康夫 ,   鹿野信一

ページ範囲:P.1241 - P.1250

 鹿野きようは,対談の連載ものの一つとして,豊倉教授に,眼科としてわからないことを--たくさんあるんですけれどもね,ことに視神経炎といいますか,視神経疾患に関連して,いろいろのことをお話願いたいと思うのです。
 こっちは,何をやつても,いつも不勉強なんで,はなはだ幼稚なことばつかりお聞きすることになると思うのですけれども,しろうとなんですから,なるたけわかりやすくお教え願いたいと思います。

第1回眼・光学屈折学会

小児検眼ユニットの試作

著者: 湖崎克 ,   小山賢二 ,   柴田裕子 ,   三上千鶴

ページ範囲:P.1251 - P.1256

I.緒言
 小児眼科は正にスタートしたばかりである。成人の眼機能,眼疾患にばかり気をとられていた。われわれ眼科医は,小児眼科学の重要性に気づき,小児眼科クリニックを開設し,小児眼科医として再出発を志している。その中でも,ホワイトアイクリニックを目ざす,小児眼科の領域において,最も重要視されている小学校低学年および6歳以下の小児の視力屈折検査は,いまだに低能率,不正確さの問題を残している。この問題に直面したわれわれは,既存する検眼ユニットに改良を加え,小児を対象とした検眼装置を試作したので,ここに報告する。

アコモドメーターの使用経験

著者: 山地良一 ,   吉原正道 ,   小林紹泉 ,   石崎俊介

ページ範囲:P.1257 - P.1262

Ⅰ.はじめに
 人眼の調節に関する研究は,古くから行なわれ,H.Schmidt-Rimpler1)は,1880年に,調節機能検査に際して,レンズ装用法による調節時間を測定している。わが国においても1929年に萩野氏2)が,はじめてソルントンシャッターに視標を貼布し,シャッターを開閉して視標に調節させつつ,その調節時間を視標視認のときに,測時計の電鍵を押す方法で調節時間測定を行なつている。その後,多くの研究者によつて,調節時間をもとにした人眼の調節機能測定法が行なわれてきたが,萩野,鈴村両氏3)は,1956年に,Dodgeの瞬間露出器と電子計数管を用いて,H-S式自記眼精疲労計を作製し,調節時間の測定をもとにして,種々な環境状態における調節検査を行ない,ことに眼精疲労の研究に用いて,多くの知見を発表しておられる。
 一方,水川氏をはじめ真鍋,中林氏等4)は,従来の調節時間測定法の不充分な点を考究し,多年にわたつて,次々とアコモドメーターを試作し改良を続けられ,昨年阪大式Ⅱ型アコモデメーターを完成された。その優れた特性については,すでに,詳細な報告がなされているので,ここには,このⅡ型アコモドメーターを用いて行なつた使用経験について報告する。

談話室

最近の眼鏡(1)

著者: 井上正澄

ページ範囲:P.1263 - P.1270

Ⅰ.はじめに
 検眼は眼科医の特技である。
 眼鏡処方箋を書くことは眼科診断の成果の一つであつて眼科医は眼鏡について最新の知識を持つている必要がある。しかし本邦では検眼は社会保険に冷遇されているために熱意のない眼科医が少なくない。その結果として眼科医でない者が,試験レンズを用いて簡単な自覚屈折検査を行ない,眼鏡を処方して調製する事によつて患者は種々の不幸に見舞われている。即ち不適当な眼鏡を装用したために眼精疲労を生じたり,又は悪化したり,初期の緑内障や眼内病を見落すことによつて,不幸な眼疾患者を多く作り,失明予防に大きな障害となつている。

第19回臨眼グループディスカッション

眼の心身症(第2回)

著者: 加藤謙

ページ範囲:P.1271 - P.1275

 第2回「眼の心身症」グループディスカッションは,昭和40年11月13日,宮城県民会館会議室で行われた。世話人第1回の桑島助教授から,加藤に引継がれたが,会場の設営などについては,桐沢教授,桑島助教授が,また,当日の会の運営には桑島助教授をはじめ東北大学眼科学教室の方々が,大変御甚力下さつたので,まことに順調に研究会を行うことができた。
 さて,今回は,2つの特別講演と,一般演説6が報告され,いろいろと活溌に論議がかわされた。以下,各講演と質疑応答の概要をのべる。なお,一般演題についてほ,演者の方々より要旨を提出していただいたので,問題はないと思うが,特別講演については,世話人側で抄録を作つた関係から,要旨のとりかたに,不知不識のうちに誤りや手落ちがあるのではないかと心配する。この点は,あらかじめ,諒承いただきたい。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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