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臨床実験
肺炎双球菌性急性結膜炎の流行例—附シノミン点眼液の治療効果
著者: 内田幸男1 竹林貢1 下田格2
所属機関: 1徳島大学医学部眼科 2徳島大学医学部中央検査部
ページ範囲:P.63 - P.66
文献購入ページに移動昭和41年1月から4月にかけて徳島県牟岐町に急性カタル性結膜炎が流行した。患者の大部分を占めたのは小学校の学童であり,原因は肺炎双球菌(以下Pn菌と略す)によるものであることがわかつた。従来わが国ではPn菌による結膜炎が大きい規模で流行した報告がないようである。また今回の結膜炎の臨床所見は過去の成書に記されたPn菌性急性結膜炎とは異つた点を有している。抗生物質の出現以来細菌性結膜炎は治療が容易になり,臨床的重要性もウイルス性結膜炎にとつて代られた観がある。しかし結膜炎の病原論においては細菌性のものもなお決して軽視出来ないものである6以下に今回のPn菌性結膜炎について述べる。また私共はかねてからサルファ剤の点眼液というものが治療上実際にどの程度の役割を果すかということに興味を持つていた。この結膜炎の流行はまたとない薬剤効果検討の場であつた。丁度塩野義製薬からシノミン点眼液の提供をうけていたので,これを治療に用いた成績もあわせて報告する。
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