icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科21巻10号

1967年10月発行

文献概要

臨床実験

カスガマイシン(農薬)の眼部組織に対する障害

著者: 小島宮子1

所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1183 - P.1192

文献購入ページに移動
I.緒言
 私は,さきに農薬ブラストサイジンによる眼障害を訴える患者が各地に発生したので,その眼障害性について,溶液,粉末の点眼,点入,ならびに溶液の前房,硝子体内注入実験を行ない,その成績について述べた。ブラストサイジンは1960年頃より水和剤および従来の水銀剤と混合したブラストサイジンM粉剤として,稲のいもち病に使用されてきたものであるが,眼障害を始め呼吸器や消化器の粘膜への障害が問題となつたからである。
 その後,農薬として使用し得る新しい抗生物質で,いもち病の特効剤として注目を浴びてきたのがカスガマイシンである。これは梅沢らにより開発されたもので,1964年,奈良の春日神社の土壌から分離された菌株M−338の培養濾液が,いもち病に有効であることが認められ,カスガマイシンと命名,またM−338株をStreptomycesKasugaensisと命名した。カスガマイシンも農薬として使用する時は,やはりブラストサイジンと同様に,カスガマイシン単体または水銀剤と混合して撒布される(第1表)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?