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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科21巻11号

1967年11月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・125

同胞に出現した角膜変性を伴う網膜白点症

著者: 中島章

ページ範囲:P.1235 - P.1236

〔解説〕
 この症例は数年前,井街教授らによつて本誌上に報告されたことがある。
 姉と弟と2人兄弟で,父の父と母の母とが同胞のいとこ結婚である。姉(17歳)は外眼異常なく,視力も軽い近視を矯正してほぼ正常。色覚,視野,ERG,暗順応ともに,ほとんど変化を認めない。自覚的に軽い夜盲の訴えがある。眼底は写真に示すような白点が赤道部に多く散在しており,核周辺部と黄斑部には白点は少ない。細隙灯でみると,この白点は網膜の深いところ,色素上皮あたりにあるように見える。スリットランプ写真で小さい白点がうつつているのは網膜表面の反射である。

臨床実験

Fellow eye syndrome (その2)

著者: 小島克 ,   新美勝彦 ,   小口宣夫 ,   上田準一 ,   早川敬子 ,   平光忠久

ページ範囲:P.1237 - P.1264

I.赤道部変性
A.赤道部変性
 Rhegma (break)を起こす疾患では,CibisはRhe—gmatogenetic chorioretinohyaloidpathiesとして扱い,特に網膜のgliosis,thinningを伴う,tapetoreti—nal atrophy—硝子体の限局性液化—cavitation,コラーゲン線維のCondensation—限局した硝子体網膜の癒着などを注目している。
 氏によると上記の疾患には,次のようなものをいれている。

螢光眼底撮影法によるトキソプラスマ性網脈絡膜炎の臨床像の解明—とくに病巣の時期判定における本法の意義について

著者: 鬼木信乃夫 ,   大野新治 ,   野中吉郎

ページ範囲:P.1267 - P.1278

I.緒言
 螢光眼底撮影法による網膜病変の解析—とくに血液循環障害の病態生理解明への応用については,多くの研究成果が発表されているが1)7),網膜脈絡膜の炎性病変に関するものは非常に少なく,Lemke2)の網脈絡膜炎一般に関する研究,藤沢3)の中心性網膜炎(増田型)に関する研究,荒木ら4)のヒストプラスマ性網脈絡膜炎に関する研究がみられるのみである。
 トキソプラスマ性網脈絡膜炎の臨床像は,初期には急性滲出性病変が存在し,治癒に向うにつれ病巣が扁平化し境界も鮮明となり,後には色素が游出して瘢痕病巣となる5)。私達は,この各病期における病態の解明に螢光眼底撮影法を応用して,新しい病巣治癒判定規準を作つたので紹介し,あわせて批判を仰ぎたいと思う。

前房内コレステリン結晶

著者: 小暮美津子 ,   水谷敏子

ページ範囲:P.1281 - P.1282

I.緒言
 前房内コレステリン結晶の析出は,比較的稀な疾患で,今までに本邦では,27例1)報告されている。私どもも最近その1例に遭遇したので報告する。

諸種薬物のERGに及ぼす影響,特にC波について—第4報網膜色素変性症のC波とEPG (Electropupillogram)

著者: 玉井嗣彦

ページ範囲:P.1283 - P.1287

I.緒言
 前報27)において,正常人眼のいわゆるC波が共感性瞳孔運動に伴う活動電位EPG (Electropu—pillogram)と同一性を有することを指摘し,その臨床的意義について若干の私見を述べた。
 今回,同様の実験を比較的初期の網膜色素変性症(以下本症と省略)患者15名に対して行ない,正常人眼のそれと比較検索したのでここに報告する。

弱視眼の暗順応検査成績

著者: 藤野亨

ページ範囲:P.1289 - P.1293

I.緒言
 弱視眼の暗順応検査は臨床面では,真正弱視の診断,比較弱視との鑑別,弱視治療の予後の判定などに意義のある検査といわれている。
 Ludvigh (1942)はAmblyopia ex anopsiaの或るものは特異的な暗順応を示すと述べている。Oppel (1958)は片眼斜視弱視患者の暗順応は,錐状体では悪い閾値を示すが,杆状体ではほとんど正常であると述べている。von Noorden&Burian (1959)は斜視弱視眼の視力は照度を減じても,あまり低下しないと述べている。またOppel (1960)は機能的原因で視力低下を来たした眼の暗順応はそう悪くはないが,器質的原因によるものは暗順応も悪いと報告している。Wee—kers (1962)は弱視眼の暗順応は錐状体ではやや不良であるが,視力の低下度に比較すればそう悪くはないと述べている。Saiduzzafar (1963)は弱視眼の暗順応は一般に正常眼よりもやや悪いが一部の症例では正常眼とほとんど同じものもあると報告している。

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眼科ニュース

ページ範囲:P.1293 - P.1293

眼科フィルム貸しだしのご案内
 千寿製薬株式会社の好意によりまして,下記眼科フィルムが国際眼科フィルム図書館から日本へ貸し出されることとなりました。
昭和42年10月はじめより,昭和42年12,月末日までの間でご使用希望の月日を

眼科治療基準点数と疑義解釈(乙)

ページ範囲:P.1311 - P.1311

眼球手術
1.眼球全摘除181.4点
2.眼球摘除及び組織充填302.4点

手術

網膜剥離に対する冷凍手術法(第1報)

著者: 浅山亮二 ,   坂上英 ,   錦織劭 ,   内田璞 ,   福地悟

ページ範囲:P.1295 - P.1307

I.緒言
 私達は,第20回臨床眼科学会で「Cryosurgeryの試み」と題して,眼科領域におけるCryosur—geryの現況を紹介し,同時に網膜剥離に対する冷凍手術法(Cryoretinopexy)の経験を予報として発表した。その後今日までに10例11眼を本法によつて治療し,良好な治癒成績が得られ,またほぼ適正な手術条件を設定することが出来たので,ここに報告する。

角膜移植における混濁移植片の病理組織像

著者: 田中宣彦

ページ範囲:P.1313 - P.1317

I.緒言
 角膜移植の予後は,さまざまな条件によつて左右され,移植片混濁の原因は明らかなこともあるが,なぜ混濁したのかはつきりしないこともあり得る。混濁治癒した場合,その臨床所見と組織所見との関係を検索することは,混濁発生の機序を知り,予防する上で大切なことと考える。今回は混濁治癒した症例中,再移植を行なうことが出来た8例から得られた移植片の組織変化を観察し,その臨床所見とともに報告し,若干の考察を試みた。

談話室

ドイツにおける「検眼」に対する法律的解釈

著者: 内藤慶兼

ページ範囲:P.1319 - P.1321

 1966年1月20日,ベルリンの最高裁判所は,ついに眼鏡士の屈折測定を承認する判決を行なつた。判決文の要点は次のとおりである。
 1.屈折測定は手技的な行為であつて,ちようど補聴器の販売業者が,オーディオメーターで顧客の聴力を測定するのと同質の行為である。したがつて屈折測定は医療行為ではない。

眼科ニュース

日本眼科学会専門医制度委員会案について

ページ範囲:P.1322 - P.1323

 委員会は昨秋発足以来数次にわたつて専門医制度の規約原案を作り,検討を加えてきたが,本年9月30日東大学士会館において全員の(生井教授欠席)出席のもとに一応委員会としての案を作成した。近く11月の評議員会に上呈,審議をうける予定である。それまでにお気付の点があれば委員会まで(日眼事務所内)ご意見を寄せられたい。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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