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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科21巻12号

1967年12月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・126

Wegener肉芽腫症の強膜炎

著者: 鹿野信一 ,   高瀬正彌

ページ範囲:P.1341 - P.1342

[解説]
Wegener肉芽腫症は
(1)呼吸器道の壊死性肉芽腫症
(2)全身性の壊死性血管炎

臨床実験

先天性白内障に関する研究—その1片眼白内障

著者: 植村恭夫 ,   田村秀子

ページ範囲:P.1343 - P.1347

I.緒言
 先天性白内障は,成人のそれに比し,成因,性状も異なり,混濁の部位,程度,形状も多岐にわたり,その発生時期も生下時にすでに認められるものもあり,生後数カ月より数年あるいはそれ以後に出現するものもある。したがつて,名称も先天性白内障というよりdevelopmental cataracts(発達白内障)と呼称するのが適当とされている。原因的にみても,遺伝性のもの,風疹白内障,未熟児白内障のように遺伝とは無関係のもの,各種症候群(先天性代謝異常を含む)の一症状として出現する場合など様々である。停在性のものもあれば,進行性のものもあり,両眼性のものもあれば,片眼性の場合もある。成人の白内障に比し,他の眼異常,全身異常を随伴することが多く,白内障の性状の多様性,乳幼児の眼球の解剖学的,生理学的の特異性,術後の眼鏡,コンタクトレンズ矯正のむつかしさ,麻酔の問題点など,成人の場合とは,比較にはならぬ程多くの問題点があり,かっ,視力,視機能の予後は,成人の場合に比し,著しく不良とされている。手術の適応,その時期,術式をめぐる議論は多く,いまだ決定的な結論を得るには至つていない。先天素因による弱視,失明が重視されている今日,小児眼科領域では,その予防,治療に力を注ぐべき重要な疾患であることはいうまでもない。

上眼瞼外側上方におけるchoristomaの1例

著者: 塚田初美 ,   吉井恒雄

ページ範囲:P.1349 - P.1352

I.緒言
 Friedenwald5)は,眼科領域の先天性位置異常としてのchoristomaを,(1) Aberrent lacri—mal gland,(2) Dermoids,(3) Epidermal cyst(4) Teratoid tumor,(5) Ectopic cartilage andboneに分類し, Reese7)はA. Dermoid cyst,B.Dermoid tumor, C. Dermolipoma, D.Composite tumorに分類している。
 Reeseは,choristomaを,組織または臓器の胚芽が迷入し,腫瘍状を呈するものといい,Albre—cht1)は,組織芽が正常の連続性をなくし,一部分離したものが,他の組織の中に入り込んだものと定義している。

可動性義眼を着用していた眼の眼窩内に発生した悪性黒色腫1例

著者: 進藤晋一 ,   関静 ,   宮田ユキ ,   佐野豊子 ,   鶴岡康子

ページ範囲:P.1355 - P.1359

I.まえがき
 従来,眼科におけるmalignant melanomaの例は,外国においては数多く報告されているにかかわらず,わが国においては稀なものとされてきた。しかし,最近はその報告も急に増加してきているようであるが,この腫瘍が,7年前に眼球内容除去を受け,その時に可動性義眼を装用した眼の,眼窩に発生し,かなりの大きさに発育するまで,なんらの症状も現わさなかったという例はきわめて稀有で,かつ示唆に富むと考えるので,御参考に供したく思う。

網膜血管と神経との関係について

著者: 松山道郎

ページ範囲:P.1361 - P.1364

I.緒言
 近年網膜血管の正常構築像,ならびに病態像に関する研究が内外の諸文献を賑わしているが,特に電顕,トリプシン消化酵素法の導入によりさらに新知見が加えられつつある。周知のごとくCo—gan,桑原等の創案によるトリプシン消化法は網膜血管構造を伸展標本として概観するには誠に優れた方法であるが,これのみでは血管と周囲組織(特に神経要素)との関係を明らかに把握し得ない難点があり,この行き詰りを打開すべく,後染色として種々の鍍銀法が応用されつつある。しかし,これによつても神経線維と他の好銀線維成分,特にグリア線維との鑑別は必ずしも容易でない。私はこの数年来,人,家兎,牛眼の網膜全伸展標本を作製,これにBielschowsky変法による鍍銀法を施行して,網膜神経要素の正常ならびに病態像4)を検索してきたが,たまたま,染色過程を2,3工夫することにより,網膜血管と神経組織が同一の場に染色されることを知つた。
 現在まで摘出病的人眼(主として,原発性絶対緑内障,白内障術後,角膜潰瘍後に続発した緑内障,陳旧性萄葡膜炎,全眼球炎等),約30眼について上記の検索を行なつた結果,網膜血管と密接な関係を有する微細神経の存在を証明し得た。本線維を網膜血管のトーヌスに関連をもつvaso—motor nerveと断定する確信は目下のところないが,本稿では特に興味ある所見が得られた2,3の症例を中心に考察してみたい。

螢光眼底写真による網膜静脈閉塞症の検討

著者: 谷道之

ページ範囲:P.1365 - P.1371

I.緒言
 網膜静脈分枝閉塞症で,長期観察した2例を螢光眼底写真で検討したところ,興味ある所見がえられたので報告する。

後部核間性眼運動麻痺

著者: 山中妙子 ,   河野芙美子 ,   大河原久子

ページ範囲:P.1373 - P.1378

I.緒言
 Bielschowsky1)は1902年に末梢性でも中枢性でもない特殊な外眼筋の麻痺について述べ,これをsupranucleäle Parase (核上性麻痺)と記載した。L'hermitte2)(1922)はこのような症例にOphthalmoplegia internuclearis (核間性眼筋麻痺)という表現を用い,さらにJaensch (1924,1930)3)4)やLutz (1923)5)は核間性眼筋麻痺の原因である病巣部位が脳橋にある内側縦束の動眼神経核に近い前部にある場合をOphthalmople—gia internuclearis anteriorとし,外転神経核に近い後部にある時を,Ophthalmoplegia inte—rnuclearis posteriorと呼んでそれぞれに特有な所見を述べた。またHaymaker (1964)6)はこれをsuperior internuclear Ophthalmoplegia(上部核間性眼筋麻痺)とinferior internuclearOphthalmoplegia (下部核間性眼筋麻痺)に分け,Cogan (1950)7)は内側縦束の脳橋における障害部位を前部,中間部,後部に分けてそれぞれの症状を記載した。

Polyvinylpyrrolidon沈着症の1例

著者: 須田栄二

ページ範囲:P.1379 - P.1383

I.緒言
 Polyvinylpyrrolidon (PVP)はドイツで第二次大戦中代用血漿剤の研究が盛んにおこなわれた結果,Reppe3)(1940)によって創製された人工膠質である。
 Acetylenからの重合によって任意の分子量がえられ,安定性があり,刺激・アレルギー作用がなく,毒性も少なく,血清および組織の洗滌作用があり,とくにその低分子のものは排泄が良好で生体に悪影響を与えないとして,眼科にかぎらずその医学的応用の広いものである。

手術

緑内障に対するScheie手術の成績

著者: 高久功 ,   西山義一 ,   木村良造 ,   涌沢成功 ,   菅原憲 ,   福士紀子

ページ範囲:P.1385 - P.1389

I.緒言
 緑内障に対する減圧手術については,多くの未解決の問題を含み,その手術々式についても,いまだ決定的方法をみない状態である。
 1958年,Scheie1)が強膜焼灼を併用せる周辺虹彩切除術,いわゆるScheie氏手術を発表し,さらに報を重ねて2)3)その成績の良好なることを述べているが,以来,米国はいうにおよばず4)5),本邦においてもひろく行なわれるに到り,その成績も多数報告されている6)〜15)

談話室

福原先生と石原先生—傍観的国字論

著者: 広瀬泉

ページ範囲:P.1395 - P.1397

 私の中学時代,国漢の先生で,福原真幸なる方があつた。先生は「ローマ字論者」。しかも日本式,いわゆる訓令式採用の主張者で,折りにふれ,熱心に国語・国字問題を論じておられた。
 私どもの中学時代といえば大東亜戦たけなわの頃。今の中国にみる紅衛兵的世代である。英語の先生をボイコットする程ではなくとも,隅の方に押しやつた感じがあつた。そのさなか,国漢の先生が,こともあろうにローマ字論とは誠に奇異の感を抱く他はない。極論するものの中には,国賊とののしり,先生が憲兵隊に調べられたという噂話をきいたこともある。

色盲訓練は果して有効か—色盲研究会における討論

ページ範囲:P.1399 - P.1405

 本稿は今年4月1日,名古屋において行なわれた色盲研究会例会(東京および関西合同)の記録をテープから深見嘉一郎氏(京府医大)がまとめて本誌に寄せられたものであるが,読者に分かりやすいように編集部で標題をつけ,内容を多少アレンジし直したものである。

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臨床眼科 第21巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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