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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科21巻12号

1967年12月発行

文献概要

臨床実験

網膜血管と神経との関係について

著者: 松山道郎1

所属機関: 1倉敷中央病院眼科

ページ範囲:P.1361 - P.1364

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I.緒言
 近年網膜血管の正常構築像,ならびに病態像に関する研究が内外の諸文献を賑わしているが,特に電顕,トリプシン消化酵素法の導入によりさらに新知見が加えられつつある。周知のごとくCo—gan,桑原等の創案によるトリプシン消化法は網膜血管構造を伸展標本として概観するには誠に優れた方法であるが,これのみでは血管と周囲組織(特に神経要素)との関係を明らかに把握し得ない難点があり,この行き詰りを打開すべく,後染色として種々の鍍銀法が応用されつつある。しかし,これによつても神経線維と他の好銀線維成分,特にグリア線維との鑑別は必ずしも容易でない。私はこの数年来,人,家兎,牛眼の網膜全伸展標本を作製,これにBielschowsky変法による鍍銀法を施行して,網膜神経要素の正常ならびに病態像4)を検索してきたが,たまたま,染色過程を2,3工夫することにより,網膜血管と神経組織が同一の場に染色されることを知つた。
 現在まで摘出病的人眼(主として,原発性絶対緑内障,白内障術後,角膜潰瘍後に続発した緑内障,陳旧性萄葡膜炎,全眼球炎等),約30眼について上記の検索を行なつた結果,網膜血管と密接な関係を有する微細神経の存在を証明し得た。本線維を網膜血管のトーヌスに関連をもつvaso—motor nerveと断定する確信は目下のところないが,本稿では特に興味ある所見が得られた2,3の症例を中心に考察してみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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