文献詳細
談話室
文献概要
私の中学時代,国漢の先生で,福原真幸なる方があつた。先生は「ローマ字論者」。しかも日本式,いわゆる訓令式採用の主張者で,折りにふれ,熱心に国語・国字問題を論じておられた。
私どもの中学時代といえば大東亜戦たけなわの頃。今の中国にみる紅衛兵的世代である。英語の先生をボイコットする程ではなくとも,隅の方に押しやつた感じがあつた。そのさなか,国漢の先生が,こともあろうにローマ字論とは誠に奇異の感を抱く他はない。極論するものの中には,国賊とののしり,先生が憲兵隊に調べられたという噂話をきいたこともある。
私どもの中学時代といえば大東亜戦たけなわの頃。今の中国にみる紅衛兵的世代である。英語の先生をボイコットする程ではなくとも,隅の方に押しやつた感じがあつた。そのさなか,国漢の先生が,こともあろうにローマ字論とは誠に奇異の感を抱く他はない。極論するものの中には,国賊とののしり,先生が憲兵隊に調べられたという噂話をきいたこともある。
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