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特集 第20回日本臨床眼科学会講演集 (その2)
プルキンエ・サンソン像の変化より見た調節動態の記録
著者: 加部精一1
所属機関: 1東京医科歯科大学眼科学教室
ページ範囲:P.341 - P.352
文献購入ページに移動I.緒言
近視発生機転には種々の要因が考えられているが,過度の近業が後天近視の重要な成因であることは周知の通りである。従つて近視の成因に関して調節作用の方面より追求することは最も重要かつ基本的な課題である。近視の調節機能についての研究は,Hönig1)により調節力が屈折異常によつて異なることが述べられて以来,江原2),田上2),矢野3),大塚4)氏らもこれを認めている。更に近年,調節時間の分析を試みて萩野5),鈴村5),佐野6),堀7)氏らは調節緊張と弛緩との間に屈折状態により特別な関係があることを報告し,水川8)氏らは調節時間曲線に特別な変化を見出している。しかし,それらの業績による調節力とは専ら水晶体の変形度を表わしたものであり,調節時間は水晶体の変形の開始より終結までの時間を表わしたものであつて,調節の一断面の追求に過ぎない。調節の原動力となる毛様体筋の収縮力,水晶体の張力,脈絡膜の牽引力等については生体眼で測定することは出来ないが,しかしその総合力学的変動によつて生ずる水晶体の動態から個々の力量を推測分析検討することにより調節機能の本態をある程度追求することが可能である。
なお,直接水晶体前面曲率半径の時間的変化の実測は殆んど行なわれていないが,私は,ここにPurkinje-Sanson像を映画撮影し,比較的正確にその動態をとらえることが出来たので,時間—水晶体前面曲率半径曲線の有する意味について一考察を加える。
近視発生機転には種々の要因が考えられているが,過度の近業が後天近視の重要な成因であることは周知の通りである。従つて近視の成因に関して調節作用の方面より追求することは最も重要かつ基本的な課題である。近視の調節機能についての研究は,Hönig1)により調節力が屈折異常によつて異なることが述べられて以来,江原2),田上2),矢野3),大塚4)氏らもこれを認めている。更に近年,調節時間の分析を試みて萩野5),鈴村5),佐野6),堀7)氏らは調節緊張と弛緩との間に屈折状態により特別な関係があることを報告し,水川8)氏らは調節時間曲線に特別な変化を見出している。しかし,それらの業績による調節力とは専ら水晶体の変形度を表わしたものであり,調節時間は水晶体の変形の開始より終結までの時間を表わしたものであつて,調節の一断面の追求に過ぎない。調節の原動力となる毛様体筋の収縮力,水晶体の張力,脈絡膜の牽引力等については生体眼で測定することは出来ないが,しかしその総合力学的変動によつて生ずる水晶体の動態から個々の力量を推測分析検討することにより調節機能の本態をある程度追求することが可能である。
なお,直接水晶体前面曲率半径の時間的変化の実測は殆んど行なわれていないが,私は,ここにPurkinje-Sanson像を映画撮影し,比較的正確にその動態をとらえることが出来たので,時間—水晶体前面曲率半径曲線の有する意味について一考察を加える。
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