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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科21巻3号

1967年03月発行

文献概要

特集 第20回日本臨床眼科学会講演集 (その2)

眼筋無力症の一治療法

著者: 牧内正一1 吉原正道1 垣内治郎1

所属機関: 1大阪医科大学眼科

ページ範囲:P.425 - P.436

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I.緒言
 眼筋無力症の起因については,Dale1)氏の神経筋化学伝導説を始めとして,内分泌説などがあるが,未だ明らかにされていない。しかし最近,田野辺氏1)2)3)4)は30数年にわたる本症の研究から,眼筋無力症は,随意的眼球運動に際して生理的アセチルコリンが遊離する時,それに随伴して生産されるクラレ様物質により,眼筋終板が閉塞され神経よりアセチルコリンを通じての眼筋へのインプルス伝達が阻害されるために起るものと推察すると種々の観点をあげて述べた。また,石川氏5)は,筋無力症について電気生理学的研究を行い,その筋電図特性を明らかにし,眼筋無力症と進行性外眼筋麻痺は全く別個の疾患であると述べている。
 一方,本症に対する治療法としては,Walker氏が1934年に重症筋無力症に対して,エゼリンが有効なる事を述べて以来,我国でも布村氏6)7)がプロスチグミンによる治療実験を行なつたのを始めとして,大槻氏8),神谷氏9)は,ワゴスチグミンの有効である事を述べ,また,谷氏10)は,D.F.Pを用いて,ワゴスチグミンよりも筋力回復の程度は弱いが,効果の持続時間が長かつたと報告し,この様に抗コリンエステラーゼが本症治療の主体となるに至つた。その他,清水氏11)等は,アセチールコリン,ビタミンB1の脊髄内注入で有効であつた例を報告し,日隈氏12)は,副腎皮質製剤およびビタミンB2を用い,持続効果を示した例を報告している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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