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特集 第20回臨床眼科学会講演集(その3)
頭髪異常(先天性毛髪疎少症)の兄妹に見られた眼底異常の1例
著者: 保倉賢造1 水田茂1 前田一美1
所属機関: 1国立大阪病院眼科
ページ範囲:P.495 - P.500
文献購入ページに移動眼底殊に黄斑部の変性に関しては,原発性黄斑部疾患としてHutchinson & Tay1)が1875年に滴状脈絡膜炎(chorioiditis gutata)を初めて報告し,Haab2)は1885年に老人性黄斑部変性症(Erkrankung der Macula lutea)の1例を記載しており,Batten3)は1897年兄弟2人に14歳時に始つた対象性黄斑部疾患(Symmetricaldisease of macula)を報告し,Doyneは18984)年蜂巣状脈絡膜炎(Honigwaben ähnliche Cho—rioiditis)の1例を報告している。即ち,黄斑部は網膜のうちでも,解剖学的,生理学的に特殊な部分であるので,独立した疾患も多く,又網膜一般の疾患の場合,並びに他の全身的な疾患の場合にしばしば影響を受けるのである。
ついで1905年Best5)が一家系59人中8人に認められた停止性の黄斑部疾患を報告し,先天発育異常(augeborene Entwicklungohemmung)による遺伝性黄斑疾患(hereditäre Maculaaf—fection)を記載した。その後,1909年Stargardt6)は12〜14歳頃に発病し,両眼の中心窩に黄灰色乃至燈黄色の小斑が現われ,その数が次第に増加融合して,1/2〜2乳頭径大の変性巣をつくるものを報告した。
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