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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科21巻5号

1967年05月発行

特集 第20回日本臨床眼科学会講演集 (その4)

弱視治療に関する2,3の問題—その3:傍中心窩固視について

著者: 植村恭夫1 最上斉子1

所属機関: 1国立小児病院眼科

ページ範囲:P.631 - P.634

文献概要

I.緒言
 偏心固視の成立には,暗点説,対応説,運動因子説などがあり,一つの説をもつては様々の状態を示す偏心固視を説明し得ないようである。偏心固視の中には,遮蔽法,手術,Pleopticsによつて,その状態が最初のそれとは異つた局在性,動揺性の変化を示すものもあれば,殆んど不変にとどまるものがある。初診でみる状態も,既に,様々の変化の過程を辿つたもので,最初の状態とは著しく異つているものも稀でないと考えられる。さて,異常固視の中で,傍中心窩固視という存在は,周辺固視,傍黄斑固視に比べ,恰も予後良好な存在と考えがちであるが,決してそうではない。その治療にしても,euthyscope pleopto—phoreによる残像法,中心窩刺激法共に,偏心度の少いものには適用出来ない。赤フイルター法,遮蔽法も奏効しない。何故このような中心窩より僅かな偏心部位に固定するのかも興味ある問題である。
 傍中心窩固視は,斜視弱視にも,不同視性弱視にも夫々報告がある。前者では,一次的にみられるものと,遮蔽法,手術,pleopticsにより,周辺固視,傍黄斑固視より二次的になつたものとある。不同視性弱視の報告をみると,大多数は中心固視であるが,一部が傍中心窩固視であり,それ以上の偏心度の大きいものは稀である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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