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特集 第20回日本臨床眼科学会講演集 (その4)
脳下垂体腺腫内出血の1例
著者: 小原博亨1 中村一夫1 赤塚俊一1 樋口正男1 渡辺カヅ1
所属機関: 1名古屋鉄道病院眼科
ページ範囲:P.663 - P.667
文献購入ページに移動脳下垂体腫瘍の臨床診断を下すのは主として眼科医であるが,時には,この脳下垂体腫瘍内に出血を来す場合がある事が報告されている。われわれ,脳下垂体腫瘍の診断を下す者は,常にこの事を念頭に置いて診断をしなければならない。下垂体腫瘍内出血(Pituitary Apoplexy)を念頭に置けば,下垂体腫瘍内出血が脳底に及んだ場合にも,単なる頭蓋内出血と誤診して,そのため,手術の機会を失なう恐れも無かろうし,複雑な症状からも脳下垂体腫瘍の存在も推定出来るし,下垂体腫瘍手術の場合にも,そこからの出血を防ぐ事も出来よう。
最近,下垂体腫瘍内出血の臨床診断例が報告されるようにさえなつているが,本邦眼科では小島克教授およびその門下生による手術によつて確め得た唯一例の報告があるのみである。私共も単なる下垂体腫瘍と早呑み込みしていたが,手術の結果,下垂体腫瘍内出血と判明した例に遭遇して,教えられる事が多かつたので報告する。
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