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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科21巻5号

1967年05月発行

文献概要

特集 第20回日本臨床眼科学会講演集 (その4)

フリッカー中心視野について

著者: 松田弘子1 中林正雄1

所属機関: 1大阪大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.673 - P.677

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I.緒言
 私らはさきにゴールドマン視野計を改造してフリッカー球面視野計を作り,イソプトメトリーをおこなつて視野内の時間的分離能の分布(すなわちフリッカー視野)を測定した。またこれを各種疾患眼につき測定して量的視野の成績と比較したところ,明度識別能の低下(すなわち量的視野のDepression)が全くないのに,時間的分離能が著明に低下する数種の疾患を見出すにいたつた。それは,1)視神経炎,2)脳下垂体近辺の腫瘍(脳下垂体腫瘍,頭蓋咽頭腫瘍など)と3)緑内障の三者であつた。これらの共通点を求めればいずれも第Ⅲノイロン侵襲と考えられる点であり,第Ⅰ第Ⅱノイロン侵襲の疾患や,第Ⅳノイロン侵襲疾患ではこのようなことはなかつたので,このように時間的分離能が特異的に低下するのが第Ⅲノイロン侵襲の特徴であろうと考えるにいたつた。そしてこの現象を,この三者の疾患の早期診断の目的に日常臨床的に用いた結果,多数の患眼の早期診断に成功し,その有能であることを証明した。
 しかしこれはあくまでも球面視野計のデータであつて光標の位置的精度はよくなかつた。そのため,2)による半盲性機能低下では問題はないが,1)の視神経炎による機能低下部の存在は,発見は出来るがその形は明確にとらえにくかつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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