文献詳細
臨床実験
文献概要
I.まえおき
著者及び教室員は,広島大学医学部付属病院が昭和32年10月に広島市に移転して以来,眼科診療部において,原爆白内障について観察して来た結果,被爆距離が1600mを超えると,その頻度が明確に減少することを認めた。また観察される原爆白内障の程度を,第1表に示すように4段階に分類した。
すなわち「微度」は,ただ細隙燈顕微鏡検査によつてのみ認められるところの,水晶体後極部被膜内面に位する限局性混濁を呈するもので,この混濁斑は観察の方向によつて色閃光を呈する。「軽度」は,微度の所見に加えて,水晶体後極部被膜の前方に位置する細点状混濁を呈するが,徹照法観察においては,混濁の陰影をほとんど見出しえない。「中等度」は,後極部被膜の前方に小塊状混濁があつて,徹照法観察で混濁の陰影が明らかにみられるものである。「高度」は,後極部被膜の前方に,いわゆる凝灰岩様混濁を呈するもので,この程度分類の症例だけが,視障の自覚をもつていた。
著者及び教室員は,広島大学医学部付属病院が昭和32年10月に広島市に移転して以来,眼科診療部において,原爆白内障について観察して来た結果,被爆距離が1600mを超えると,その頻度が明確に減少することを認めた。また観察される原爆白内障の程度を,第1表に示すように4段階に分類した。
すなわち「微度」は,ただ細隙燈顕微鏡検査によつてのみ認められるところの,水晶体後極部被膜内面に位する限局性混濁を呈するもので,この混濁斑は観察の方向によつて色閃光を呈する。「軽度」は,微度の所見に加えて,水晶体後極部被膜の前方に位置する細点状混濁を呈するが,徹照法観察においては,混濁の陰影をほとんど見出しえない。「中等度」は,後極部被膜の前方に小塊状混濁があつて,徹照法観察で混濁の陰影が明らかにみられるものである。「高度」は,後極部被膜の前方に,いわゆる凝灰岩様混濁を呈するもので,この程度分類の症例だけが,視障の自覚をもつていた。
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