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臨床実験
脳下垂体部腫瘍の眼症候—とくにpituitary adenomaの視野経過
著者: 藤江容1
所属機関: 1東京大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.1053 - P.1060
文献購入ページに移動I.緒言
脳下垂体部腫瘍は視束交叉症候群を現わす腫瘍として一括して取扱われ,脳外科の重要な対象となつている。患者は脳外科医を訪れる前になんらかの眼症候があるため,眼科医を訪れる場合が多く早期に診断を下すことは眼科医にとつても重要なことである。早期の適切な治療は予後を決定する上に重要なことは万人の認むるところであるが現在の実状としては,相当症状が進行したものが当科の治療対象となつているものが多い。最近までに,Pituitary adenomaの統計的ならびに術前,術後における視野および視力を比較した報告1)2)3)4)は多く見られるが,術後,放射線治療を行ない長期間観察した報告および,Goldmann'sperimeterを用いた量的視野の変化とその回復状態の報告はいまだ見うけられない。
今回,下垂体部腫瘍中,過半数を占めるPitu—itary adenomaについて術後,放射線治療をうけた症例の統計的観察ならびに最近Goldmann'sperimeterを用いて視野の回復過程を追求し,予後を推定する資料をえたので報告する。
脳下垂体部腫瘍は視束交叉症候群を現わす腫瘍として一括して取扱われ,脳外科の重要な対象となつている。患者は脳外科医を訪れる前になんらかの眼症候があるため,眼科医を訪れる場合が多く早期に診断を下すことは眼科医にとつても重要なことである。早期の適切な治療は予後を決定する上に重要なことは万人の認むるところであるが現在の実状としては,相当症状が進行したものが当科の治療対象となつているものが多い。最近までに,Pituitary adenomaの統計的ならびに術前,術後における視野および視力を比較した報告1)2)3)4)は多く見られるが,術後,放射線治療を行ない長期間観察した報告および,Goldmann'sperimeterを用いた量的視野の変化とその回復状態の報告はいまだ見うけられない。
今回,下垂体部腫瘍中,過半数を占めるPitu—itary adenomaについて術後,放射線治療をうけた症例の統計的観察ならびに最近Goldmann'sperimeterを用いて視野の回復過程を追求し,予後を推定する資料をえたので報告する。
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