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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科21巻9号

1967年09月発行

文献概要

手術

CRYOSURGERYの試み(予報)—Cryoretinopexyについて

著者: 浅山亮二1 永田誠1 内田璞1

所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1085 - P.1091

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I.緒言
 眼科領域におけるCryosurgeryの歴史は意外に古く,すでに1918年Schoeler1)はドライアイスを用いて冷凍が網膜に及ぼす影響を動物眼および人眼について検討し報告している。その後Bietti(1933,1934)2)3)が,網膜裂孔閉塞に冷凍法の応用を試み,同時に冷凍が眼組織に及ぼす影響を組織学的検索をも含め詳細に記述した。彼はドライアイスにアセトンを混合するという簡単な冷凍器を用いて,鞏膜側より約−80℃で眼球を冷凍し,鞏膜に対する侵襲が軽微で,しかも術後7〜8日目に強固な網脈絡膜癒着性療痕が形成されることを家兎眼について確認し,これを人眼網膜剥離手術の裂孔閉塞に応用して,網膜剥離14例中10例を治癒せしめるという好成績を収めた。これが冷凍法が眼科手術へ導入された最初である。
 同年Biettiの業績とは独立にDeutchmann(1933)4)が,ドライアイスを用い,網膜裂孔の閉塞を試みよい成果を挙げているのであるが,その後この冷凍手術は永らく顧られることがなかつた。これはおそらく,本法に少しく先んじてWeveおよびSafer (1930)によつて開発されたジアテルミー凝固法が,当時すでに網膜剥離手術の標準的術式として賞用されていたため,これと同様の手術原理に基づき,しかも当時の技術水準では,温度調整などが困離で手技のやや繁雑な冷凍法が敬遠されたためであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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