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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科22巻1号

1968年01月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・127

ブルヌビーユ・プリングル氏母斑症の一症例

著者: 松浦啓之

ページ範囲:P.5 - P.6

〔解説〕
 ブルヌビーユ・プリングル氏母斑症は幼時期に発生し,漸次増大する全身性母斑症の一つであり,皮膚の変化に加えて,脳に結節性硬化症があり,知能薄弱,癲癇発作をみることから,皮膚科または精神科領域において,本症に遭遇するのが普通である。眼科的には,網膜に神経線維腫からなる腫瘍が発見されることがある。

境界領域対談

麻酔と眼科

著者: 山本亨 ,   北野周作 ,   山下竜雄

ページ範囲:P.7 - P.15

 北野きようは「臨床眼科」に連載している境界領域対談というので,麻酔科の山本教授においで願つて,麻酔科と眼科との関連した問題について,いろいろお話をうかがいたいと思います。
 麻酔というと,15年ぐらいまえ医局にはいつたころはいわゆる「げんこつ麻酔」というのがあつて,泣く子を「げんこつ」でだまらせて手術をしたなどということがありましたが,最近は麻酔科が独立し,完全な麻酔をやつていただけるようになりました。それで麻酔科の方に始めからおねがいしつぱなしで,むしろ麻酔という学問が私どもの手から遠くへいつてしまつた,というような感じがしないでもありません。そこで,本日はこの10年のあいだにいちじるしい発達を遂げた麻酔学の動向やら,そして私どもの眼科の領域に関係深い二,三の事柄などを,山本先生にお話していただきたいと思います。

臨床実験

TrachomaとGlycerin

著者: 越智貞見

ページ範囲:P.17 - P.21

I.緒言
 題して「TrachomaとGlycerin」というはTrachomaの病原的研究に当りて,私はGlyce—rinに負うことの大なるものがあり,殊にその培養上,開発せらるるところあつたがためである。ここに,その由来と成果の大要を挙げることとした。

ブルヌビーユ・プリングル氏母斑症の一症例

著者: 松浦啓之

ページ範囲:P.23 - P.26

I.緒言
 本症は1880年,神経学者Bournevilleにより,はじめて独立の疾患として報告された。のちに1890年皮膚科医Pringleにより,本症に脂腺腫の合併することが報告され,さらに眼底に腫瘍が発見されたのは1921年眼科医van der Hoeve1)をもつてはじめとする。それ以来本症は,顔面皮膚の脂腺腫,癲癇発作,精神薄弱がいわゆるtriasとなり診断上重要となつた。その一つや二つを欠くか,さらにtrias以外の症候のみからなる不完全型も現われて,本症はめずらしい疾患ではなくなつた。著者は最近triasを有する本症の典型例に遭遇したので報告する。

網膜色素変性症の疫学—全国盲学校生徒を対象とした網膜色素変性症のアンケート調査(昭和41年度)

著者: 本橋昭男

ページ範囲:P.27 - P.35

I.緒言
 網膜色素変性症の疫学的研究は本態解明の重要なアプローチの一つである。わが国においてもすでにすぐれた疫学的調査報告があり,貴重な資料を提供してきた。しかし,将来も本症の疫学は実験病理学および分子生物学的アプローチとともに必要な分野であると考えられる。特にわが国における本症の疫学的調査は必ずしも満足したものではなく,とりわけ本症の遺伝学的調査は外国と比べてきわめて貧困であつた。さらに過去の資料をみると,いずれも限られた地域集団かあるいは大学病院外来受診者を調査の対象としたものであり,全国的レベルでの広範囲な調査はおこなわれていない。著者は第19回日本臨床眼科学会の席上で静岡地方における本症の疫学の一端を報告し,その中で本症は二つの異なつたタイプのあることを述べた。つまり,早期に発病し短期間に悪化して失明する型と慢性の経過を辿つて長年にわたつて良好な視力を保持する型の存在を自験例によりたしかめたのである。今回は前者すなわちcongenitaltapetoretinal degeneration (Leber)のカテゴリーに属する本症について,その実態を把握しようと企て,全国盲学校生徒を対象として本症のアンケート調査をおこなつた。幸いにして各盲学校からご協力を得ることができ,77校の中73校から貴重な資料を提供していただいたので,ここにその調査成績を報告する次第である。

国立がんセンター開院後5年間に来院せる網膜芽細胞腫患者について/その1

著者: 桐渕光智

ページ範囲:P.37 - P.41

I.緒言
 当院が開院されて本年で満5年を迎える。そこで37年5月の当院開院以来41年12月までに訪れた網膜芽細胞腫患者について,主として臨床的所見より検討を行なつたので,その結果について報告する。
 眼科開設が開院後2年たつた39年9月であつたためもあつて,症例効は今までの報告例に比し少なくまた観察期間も短いが,一人の医師が短期間に観察しえた症例数としては必ずしも少なからず,また一人で諸検査,治療にあたつた結果,種々の印象を抱いたからである。

内眼筋麻痺,Adie症候群に対する縮瞳剤の影響

著者: 山崎篤巳

ページ範囲:P.43 - P.50

I.緒言
 最近,抗コリンエステラーゼ系統の種々の点眼薬が,臨床面にて使われるようになつてきており,調節性内斜視をこれらの点眼薬にて治療する方法1)や老視の治療に使う試み2)も報告されている。抗コリンエステラーゼ剤(以下抗CE剤と略)の点眼薬が,虹彩筋のみならず毛様筋の攣縮作用によつて,縮瞳とともに調節に影響を及ぼすことに注目して,散瞳および調節障害をきたす疾患--すなわち内眼筋麻痺2例,Adie症候群5例のうち調節障害を認めたもの2例につき,これらの点眼薬を試み,縮瞳とともに調節障害の改善をみることができた。
 今日までAdie症候群にmecholyl点眼することによつて,調節障害が改善されたという片野,紫3)らの報告はあるが,抗CE剤を使つた報告はない。また毛様筋麻痺によりAC/A ratioが高くなるという報告はあるが4〜6)Adie症候群についてのAC/A ratioは,Morgan7)の1例報告をみるのみである。著者は内眼筋麻痺,Adie症候群について抗CE剤点眼前後のAC/A ratioを測定して若干の知見を得たので報告する。

神経原性変化の混在した慢性進行性外眼筋麻痺の1例

著者: 山本知彦

ページ範囲:P.51 - P.56

I.緒言
 慢性進行性外眼筋麻痺(いわゆるocular my—opathy)は,現在,臨床的観察,筋電図検索,病理組織学的所見より筋原性変化と考えられているが,私は最近骨格筋に神経原性変化が混在したocular myopathyの1症例を経験したので報告する。

色覚異常の選択刺激周波訓練第4報

著者: 今村勤

ページ範囲:P.57 - P.66

I.緒言
 先天性色覚異常に対するリハビリティーションを目的として,昭和33年以来,赤色光(650nm)および緑光色(515nm)の共鳴周波数77cpsおよび42.5cpsの正弦波交流を3秒交代に,経皮的に通電する選択刺激周波訓練を試みて,その基礎的理論7),訓練装置の電気的構成ならびに実験症例について第1報8),第2報9)および第3報10)として報告した。
 その後,この訓練装置を小型化して家庭用とするために,回路をトランジスタ化し,スィッチング回路を採用し,電圧波形を矩形波に,電源に乾電池を使用して「サンビスタ」と命名,昭和40年10月厚生省認可(40B第188号)〔医師の指示により使用〕となり,同年11月以降,指導医制によつて,指導医師の検査,指導,管理の下においてのみ,一般の希望者にこの訓練を実施させることとした。

Diamox静注の緑内障眼房水動態に及ぼす影響について—特に原発広隅角緑内障およびステロイド高眼圧について

著者: 北沢克明

ページ範囲:P.67 - P.71

I.緒言
 Diarnox (Acetazolamide)が各種緑内障治療上有効な薬剤であることは衆知の事実である。Diamoxの眼圧下降機序として,その炭酸脱水素酵素阻害作用による房水産生の抑制が眼圧下降を結果することがBeckerらにより唱えられ,その後多くの研究者の支持するところとなり現在に至つている1)2)
 皮質ステロイド点眼による高眼圧については近年多くの報告により,その原発広隅角緑内障との類似性が指摘されてきたが3)4),一方,高眼圧発生に際して房水産生の増加が重要な役割を演ずること5)6),あるいは飲水試験特に飲水トノグラフィーの結果などから両者の相違点を重視する者もあり7),ステロイド高眼圧を即原発広隅角緑内障のmodelとすることには異論のあるところである。この点において,正常眼および原発緑内障眼で房水産生抑制により眼圧下降をきたすDiamoxがステロイド高眼圧眼にいかに作用するかは興味ある問題と思われる。

Mucofadin点眼液による治療経験

著者: 高山東洋 ,   鶴岡康子

ページ範囲:P.73 - P.77

I.緒言
 ビタミンB2各型の角膜疾患患者の代謝および治療効果に関しては,多数の報告1)〜7)があり,特にFAD (フラビン・アデニン・ジヌクレオタイド)が局所に使用された場合に,角膜の代謝促進作用を有し,角膜疾患に効果があることは,広く認められている8)9)
 一方,組織成分の一部をなす酸性ムコ多糖類の損傷治癒に関する効果も,多方面にわたつて知られており,全身投与,結膜下注射,点眼などにより角膜表層損傷の治癒促進10)11),混濁の透明化10)〜13)から,眼精疲労・調節衰弱12)〜14),近視の治療15)などにすら効果があるとして,広範囲にわたつてその使用が検討されている。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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