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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻10号

1968年10月発行

文献概要

綜説

網膜剥離ならびに網膜剥離準備状態に対する光凝固の経験

著者: 岸本正雄1

所属機関: 1長崎大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1269 - P.1276

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 まず西独Carl Zeiss社の光凝固器の欠点ともいうべき点につき批判を加えた。
 網膜剥離準備状態ともいうべき眼底病巣に対する剥離予防処置としては,その部が光にて凝固が可能な限り,本法が他法に比してあらゆる点で勝れている。
 現に剥離の発生しているものに対する応用に関しては,本器の本命ともいうべき黄斑円孔閉鎖という目的に対しては意外に奏効が悪いことを指摘した。ただし黄斑部以外の裂孔で光凝固が可能な程度の軽微な剥離のあるものには奏効は必ずしも悪くない。
 剥離していない部分にも裂孔,変性巣のある揚合には,剥離部に対して手術を行なう前または術後に光凝固を行なうことはきわめて合理的である。
 ジアテルミー凝固と併用して裂孔縁凝固の完全を期すること,種々のbuckling operationsと併用して裂孔の光凝固を容易にして,閉鎖を企てるという方法も,上手に利用すれば成功率の高い仕方である。
 また手術後,凝固不十分な部の補修に利用することも,簡便賢明な方法である。
 しかし光凝固法は,画期的なものには違いないが,剥離診療において,従在から慣用されている方法(ジアテルミー法)を駆逐してしまうほど重要なものではなかろうという私見を示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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