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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻11号

1968年11月発行

文献概要

臨床実験

Ganglion Semilunareへの転移癌の眼症状

著者: 小原博亨1 中村一夫1 宮島忠1 阿久津澄義 新城長昭

所属機関: 1名古屋鉄道病院

ページ範囲:P.1412 - P.1416

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I.緒言
 半月状神経節ganglion semilunare, gasseriに発生する腫瘍ははなはだ稀である。この腫瘍にはganglion semilunareの原発のもの,脳の他の部からの浸潤または転移によるものとがある。脳以外の臓器の腫瘍からの転移はさらに稀であり,眼科領域ではF.B. Walshの乳癌の転移の1例の経験だけであり,その他の領域でも3例を数えるのみで,わが国での報告は寡聞にして知らない。
 われわれがここに報告する症例は,乳癌があり,手術および放射線療法により原発巣には再発していないことは,剖検により確かめられているが,肺に転移癌を形成し,さらにその転移癌から発生したか,あるいは肺と同時に転移して発育がとどまつていて,その後増大したものか,ganglionsemilunareに転移巣を作り,その部の種々の脳症状とともに特有な眼症状を呈し,その症状群はまことにgradenigo's syndromeと紛らわしく,その両者の鑑別にも必要なので,その小経験を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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