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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻12号

1968年12月発行

文献概要

臨床実験

弱視治療に関する二,三の問題点—その4 Pleopticsの効果判定に関して

著者: 植村恭夫1

所属機関: 1国立小児病院眼科

ページ範囲:P.1497 - P.1504

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I.緒言
 Bangerter,Cüppersらにより提唱せられた新らしい弱視治療法は,従来遮閉法を行なうしかなかつた弱視の治療に,種々な訓練器械,訓練方法を取り入れ,pleopticsとして独立した領域を作るに至つた。しかるに近年,これら訓練の効果に関し,疑問とするもの,有効例はあるにしても期待されたほどのことはないとする報告がみられ,早期の遮閉法による予防,早期治療が強調される傾向になつてきた。元来,Bangerterらも,弱視は早期発見,早期治療(遮閉法)がすべてに優先することを強調しており,英国のように,これが早くより行なわれているところでは,Banger—terらの訓練法の普及は欧州ほどにはなかつた。現実問題として,この乳幼児の遮閉法ですべて解決できるものならば,pleopticsは極言すれば不用ということになる。しかし本邦の現状をみても,乳幼児の遮閉法の施行がそれほど徹底しているとは思われず,斜視弱視,不同視性弱視が,学童期に入つてはじめて眼科医を訪れる症例も少なくない。
 本邦における弱視や斜視に対する診療の普及,熱意は十分とはいえない。その理由は,いくつかのものがあげられるが,Bangerter法,Cüppers法の器械や設備,orthopticsの器械に要する経費,訓練士の不足など,経済的問題や,技術的面などがひとつの理由としてあげられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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