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特集 第21回臨床眼科学会講演集(その1)
眼トキソプラスマ症の研究—第1報HA (UCLA—伝研法)による不顕性感染の追究
著者: 佐藤豊明1
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.121 - P.127
文献購入ページに移動Ⅰ.緒言
生体眼におけるトキソプラスマ原虫の証明法が確立されていない現在,眼トキソプラスマ症の診断は主として臨床的症状と血清学的検査の結果から,推定的に行なわれているにすぎない。しかもその臨床症状は,過去において原虫の証明された少数例の特徴を,最大公約数的に綜合したものであつて,いまだ論議の余地が数多く残されている。したがつて,眼トキソプラスマ症の診断にあたり,血清学的検査の結果を重要視することはやむをえないことと思われる。しかるに周知のごとく,トキソプラスマ症にはかなりの不顕性感染が見られるので,その血清学的検査の結果を過大評価することはきわめて危険と思われる。それがために鬼木2)のごときは,血清学的検査はあくまで疫学的に利用されるべきものであつて,個々の症例における診断の決め手とはなりえない,と述べている。
従来,後部葡萄膜炎,限局性滲出性網脈絡膜炎,中心性網膜炎等が,トキソプラスマ症と関係のある眼疾患とされてきたが,その根拠となるべき疫学的研究は少ない。かかる一連の疾患が,果して従来いわれているほどトキソプラスマ症と関係があるかどうか,また,もしあるとすれば,それはどの程度のものであろうか。
生体眼におけるトキソプラスマ原虫の証明法が確立されていない現在,眼トキソプラスマ症の診断は主として臨床的症状と血清学的検査の結果から,推定的に行なわれているにすぎない。しかもその臨床症状は,過去において原虫の証明された少数例の特徴を,最大公約数的に綜合したものであつて,いまだ論議の余地が数多く残されている。したがつて,眼トキソプラスマ症の診断にあたり,血清学的検査の結果を重要視することはやむをえないことと思われる。しかるに周知のごとく,トキソプラスマ症にはかなりの不顕性感染が見られるので,その血清学的検査の結果を過大評価することはきわめて危険と思われる。それがために鬼木2)のごときは,血清学的検査はあくまで疫学的に利用されるべきものであつて,個々の症例における診断の決め手とはなりえない,と述べている。
従来,後部葡萄膜炎,限局性滲出性網脈絡膜炎,中心性網膜炎等が,トキソプラスマ症と関係のある眼疾患とされてきたが,その根拠となるべき疫学的研究は少ない。かかる一連の疾患が,果して従来いわれているほどトキソプラスマ症と関係があるかどうか,また,もしあるとすれば,それはどの程度のものであろうか。
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