icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻2号

1968年02月発行

文献概要

特集 第21回臨床眼科学会講演集(その1)

最近の若年性再発性網膜硝子体出血の経過の特異性とその螢光写真(眼底・虹彩)所見

著者: 三井幸彦1 松原稔1

所属機関: 1徳島大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.195 - P.199

文献購入ページに移動
 若年性再発性網膜硝子体出血には二つの型があるように思われる。その一つは,比較的「良性」のもので,出血を再三繰返しても比較的よく吸収され,経過が悪く失明するような場合でも,増殖性網膜炎,続発性網膜剥離,滲出性網膜炎などの眼底所見を呈するに止まるものである。他の一つは,「悪性」で出血を繰返すとともに前部ブドウ膜炎,前房隅角および虹彩の血管新生などを発生し,さらに出血性緑内障を起こしてあらゆる抗緑内障療法に抵抗し,比較的短期間のあいだに失明するものである。日本においては,戦前には本疾患は相当多数起こつており,かつ「良性」のものの比率が高かつた。
 貴志(1911)1)および鈴木2)(1925)の統計によると,本疾患の頻度は眼科外来患者の約0.27%,または入院患者の約1.39%であつたという。戦後本疾患はいちじるしく減少した。私どもの過去7年間の外来患者の統計では12/27338=0.044%にすぎず,1年間に2例以下の割合でしか見られなくなつた。しかし,これらの患者をみると,いわゆる「良性」のものが激減したのであつて,「悪性」のものは減つていないように思われる。1943年の落合3)の39例の統計によると,虹彩炎を伴つたものは8例,約20%であるが,出血性緑内障を起こした記載は0/39で1例もない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?