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特集 第21回日本臨床眼科学会講演集 (その2) 特別講演
視野の臨床
著者: 水川孝1 中林正雄2 真鍋礼三1 大鳥利文1
所属機関: 1大阪大学医学部眼科学教室 2和歌山県立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.253 - P.267
文献購入ページに移動私は今日まで10年ばかり視覚生理の立場にたつたり,臨床医学の立場にたつたりしながら視野に関する研究を進めてきたが,今回は題名にも示したように主として臨床医学の立場から見た視野の意義について述べてみたいと思う。多少,総華的,教科書的なお話になるかも知れないが,できるだけ日常臨床に役に立つ視野とはどういうものかということに焦点をしぼつて話したい。
第1図はFörsterの球面視野計で測定した視野,第2図は同じ症例をGoldmann perimeterで測定した視野である。Försterの球面視野計で測定した視野では,まつたく異常が認められないのにGoldmannperimeterで測定した視野では明らかに両耳側半盲性のdepressionが認められる。この患者はなんとなく眼が疲れるという訴えの他は眼科的にも異常なく,頭痛その他の一般症状もまつたくなかつたのであるが,職業が医学関係のジャーナリストであつたためか,こちらが驚くほどあつさり脳外科手術をうけることを承知し,脳下垂体腺腫を切除した。術後はGoldmann perimeterによる視野でもまつたく正常にまで回復し,現在は元気に働いている。この事実は視野検査の進歩がいかに疾患の早期治療に役立つたかを単的に示した例である。
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