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特集 第21回日本臨床眼科学会講演集 (その2)
網膜色素変性症のGenetic Carrierに関する臨床的研究
著者: 丹羽巽1 伊藤寿夏1 小沢勝子1 山崎幾雄1 馬嶋昭生1 水野勝義1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.271 - P.279
文献購入ページに移動網膜色素変性症の発生に遺伝的因子が重要な要素をなしていることは周知の事実であり,特に劣性遺伝因子に由来するものが大部分をなすことは諸氏1)〜5)によつて明らかにされている。その成因については種々の面から追求されているが,発生の機序の出発点である遺伝に関する研究は,その遺伝子の運搬者すなわち遺伝的保因者(geneticcarrier)に関する研究はまつたくみられない。その保因者を正常遺伝子型から区別することは重要なことである。しかし,現在まで網膜色素変性症患者の家族の中から保因者を発見する手掛りは少なく,Frangois6)はtapetoretinal reflexのある眼底所見を保因者とおぼしき1婦人に見ている。しかし,眼底に少なくとも異常所見を呈する症例を保因者と称すべきかどうかは異論がある。そこで保因者の特性を機能検査で発見しようと試みた。
変性症患者をもつ親や兄弟で,自覚的や一般的諸検査に異常の認められないものを対象として,red-free light fundus photographによる視紅の定性的反応の試みと,Tübinger視野計による網膜の明度識別閾値の測定とによつて,保因者の特性の発見を試みて保因者と推測される例を見いだしたので,ここに報告する。
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