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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻3号

1968年03月発行

文献概要

特集 第21回日本臨床眼科学会講演集 (その2)

水晶体嚢のpseudoexfoliationの1例—電子顕微鏡的観察

著者: 美川達治1

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.317 - P.323

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I.緒言
 水晶体嚢のpseudoexfoliationは,水晶体前嚢落屑といわれるもので,水晶体前面に灰白色の斑として認められ,しばしば緑内障を合併することで臨床的に重要である。この状態はスカンジナビア地方あるいは東地中海地方に多いといわれ,したがつて外国では臨床的および病理学的研究がかなりさかんである。しかしその本態および発生に関しては,なお不明な点が多く定説はないようである。1925年Vogt1)は,水晶体嚢が変性して生じたものであると報告したが,これに対してBusacca2)は,1928年顕微鏡的検索から,この状態は嚢のexfoliationではなく,正常の水晶体嚢に沈澱物が付着したものであると述べ,Sunde3),Landolt4)らの観察から,この状態は沈着物(deposit)であると考え,したがつてTheobald5)はこれをpseudoexfoliation of the lens cap—suleとよび,Braley6),Ashton7)らもこれに同意し,現在この名称が一般に用いられている。
 この沈着物の本態に関しては,なお明らかではないが,Theobald5),Gifford8),Sunde9)およびAshton15)はムコ多種類の存在を認め,Theobald5)はtyrosinを含むといい,またSunde9)によればcollagenaseおよびhyaluronidaseに抵抗すると報告している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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