icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻5号

1968年05月発行

文献概要

特集 第21回臨床眼科学会講演集(その4)

頭蓋底後頭窩髄膜肉腫による外転神経麻痺の1例

著者: 大岡良子1 塩崎英一1 今西昶子1

所属機関: 1東邦大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.635 - P.642

文献購入ページに移動
I.緒言
 脳腫瘍による眼症状には,視野,視力,眼底所見,瞳孔ならびに眼球運動などの障害が挙げられるが,これらの眼症状は脳腫瘍の診断,さらには腫瘍病巣の局在を決めるのにきわめて重要な意義を有している。一般に臨床的には,全身症状に随伴して,種々な眼症状が発現するが,逆に眼症状が全身症状に先行して現われることもしばしばある。
 眼球運動障害については,脳腫瘍以外に頭部外傷,血管性病変,梅毒などその他種々の原因が挙げられるが,中でも外転神経麻痺は,該神経が解剖学的に頭蓋内における走行経路が長く,かつ部位的にも損傷を受けやすいため,他の眼筋麻痺に比して最も多くみられる。したがつて外軽神経麻痺の症状のみでは,必ずしも脳腫瘍の場合において,部位診断に局在的な価値は認められないばかりか,さらに他の定型的な全身症状や眼症状を欠くときは,脳腫瘍自体の診断すら困難ならしめることもしばしばありうるわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?