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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻5号

1968年05月発行

文献概要

特集 第21回臨床眼科学会講演集(その4)

後頭葉腫瘍内出血の眼症状

著者: 小原博亨1 中村一夫1 村上正固1 宮島忠1 阿久津澄義 新城長昭

所属機関: 1名古屋鉄道病院

ページ範囲:P.645 - P.648

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I.緒言
 半盲症を呈する場合,その原因を究めて加療しなければならないが,ことに同名半盲症を呈する場合は,視放線が後では広く散開して後頭葉の皮質中枢に終つているから,視放線の後部と皮質中枢が侵されたときとほとんど鑑別ができない。また,原因としては出血,血栓,軟化,外傷が多く,腫瘍,膿瘍,脳炎もまれにはある。したがつて,これらを鑑別するためには全身の症状を検討しなければならない。
 私がここに報告しようとする症例は右同名半盲症以外,臨床上,特別な症状を示さず,経過中,急激に悪化し脳出血死を疑わしめた例である。私はその初期の症状からは脳腫瘍を,後期の症状経過からは脳出血を考え,前回報告の下垂体腫瘍内出血の経験よりしてあるいは腫瘍内出血をも考えていた例であつたが,剖検上の肉眼的所見からは脳出血の疑い,織織学的検査では脳腫瘍内の出血と判明したもので,臨床上,急激に経過する脳腫瘍症状の場合には,腫瘍内出血も考慮すべきであることを教えられた例であるので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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