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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻5号

1968年05月発行

文献概要

特集 第21回臨床眼科学会講演集(その4)

オゾンガス(O3)眼球結膜下注射による眼内出血の治療

著者: 本多傳

所属機関:

ページ範囲:P.687 - P.701

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I.緒言
 昭和35年5月6日の科学新聞に,治療界の話題として,「人工オゾン活かすヨード・イオンガス体注射」と題し,日大歯学部内科講師の今本喜一郎氏の結核性再発性網膜硝子体出血に対する治験例が私の注目を引いた。その例はこの患者があらゆる眼科専門医の門を叩き,ほとんど失明の末,今本氏を訪れた。そこで氏はこの患者にヨード・イオンガス体が強力な止血作用と吸収力のあるところから思いついて,この患者に次のようなガス体注射を試みた。第1回項部に20cc,2日目30cc注射したところ,患者は少し眼の前が明るくなつてきたといつた。3日目には瞼の横へ5.0ccずつ注射,こうして隔日に10本のガス体注射が終つたとき,患者の眼はみづみづしく輝き,空を仰いで歓喜の涙に咽んだという。
 そこで私は同年の夏,今本氏の注射療法を直接見学させてもらつた。もつとも今本氏は内科が専門なので,主として内科,一部皮膚科の患者であつたが,氏のヨード・オゾンガスは酸素ボンベからの純粋の酸素を,ヨードカリ液を通してオゾン発生器により採取したオゾンガス体で,これを多いときは100cc,あるいは200ccの大量を項部や胸腹部の皮内に注射する方法であつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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