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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科22巻6号

1968年06月発行

臨床実験

クロロキン網膜症と思われる1症例

著者: 荒木保子1 植村より子1

所属機関: 1東邦大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.829 - P.835

文献概要

I.緒言
 クロロキンは1934年にAndersagにより合成され,はじめ第2次大戦中より抗マラリア剤として使用されたが,近年にいたりさらに,エリテマトーデス,リウマチ,腎炎などのいわゆる抗膠原病剤として寵用されるようになつた。しかし一方その副作用についても,古くより種々の報告があり,眼科領域においては角膜障害・網膜障害などが問題視され,ことにその網膜症については,大量長期投与により非可逆的障害を残すため,閑却視されぬ状態にあり,最近医原性疾患としても重要視される段階に到来している。
 今回円板状エリテマトーデスの患者に,クロロキンの一製剤であるレゾヒンを6年3カ月にわたる1.43kgの大量投与により,その副作用のため生じたと思われる,黄斑部を主病変とした網膜症を経験したのでここに報告し,さらに本邦における諸家の報告例と併せて,クロロキンの投与量,投与期間,発症時期ならびに障害の軽重の面から考察し,いささか私見を述べてみたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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