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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科22巻9号

1968年09月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・131

螢光眼底撮影法で確かめた網膜中心動脈枝攣縮症の1例

著者: 武井洋一 ,   米地和夫 ,   佐々木一之 ,   黒河内英子

ページ範囲:P.1161 - P.1162

〔解説〕
 網膜中心動脈枝攣縮症において,攣縮を起こしているところと,緩解したところを,螢光眼底撮影でとらえたので,その写真を示す。
 患者は23歳の女性で,右眼に急に視野狭窄の発作を起こし,症状がそのまま固定していたが,約4年後今度は左眼に同様の発作が起こり,4日後来院したもので,第1図は初診後2日目のものである。

臨床実験

螢光眼底撮影法で確かめた網膜中心動脈枝攣縮症の1例

著者: 武井洋一 ,   米地和夫 ,   佐々木一之 ,   黒河内英子

ページ範囲:P.1163 - P.1166

I.緒言
 一過性の網膜中心動脈攣縮については,現在まで,かなりの報告があり,特に珍らしい疾病ではないが,その変化を眼底写真にとらえ得た報告例は,本邦では3例1)〜3),螢光眼底撮影によるものては,2例4)10)にすぎない。
 この度われわれは,中心動脈枝が攣縮を起こしたと思われる1例を,螢光眼底撮影にて確かめ,その経過を観察したので報告する。

位相差顕微鏡による硝子体所見

著者: 渡部通英

ページ範囲:P.1167 - P.1176

I.はじめに
 凍結法によつて豚および人の眼球切片を製作し,位相差顕微鏡を使用して硝子体の形態学的考察を試みたので報告する。

Chronic Orbital Myositisの1例

著者: 高瀬正弥

ページ範囲:P.1177 - P.1181

I.緒言
 Chronic orbital myositisの眼窩炎性偽腫瘍における頻度は,相当高頻度を占めるといわれているが,外眼筋の状態や,さらにその原因に関しては不明の点が多い。本症は,病理組織学的にはリンパ球浸潤,線維症,筋線維変性を特徴としている。
 Francoisらによると,orbital myositisは3型に分類されている。

Grönblad-Strandberg's Syndromeの2例

著者: 神鳥文雄 ,   渡辺猛 ,   松浦啓之

ページ範囲:P.1183 - P.1188

I.緒言
 網膜における色素線条は,1889年Doyneにより初めて記載された。その後Plage (1891),Mnapp (1892)らにより"angioid streaks"と命名された。一方皮膚の病変に関しては1884年Balzerにより初めて記載され,のちにParier (1896)により"pseudoxanthoma elasticurnと命名された。しかしこの両者がしばしば合併して見られることから,1929年Grönblad1)が皮膚科医Strandbergの協力を得て,その後このangioidstreaksとpseudoxanthoma elasticumの合併する症例を"Grönblad-Strandberg's syndrome"と呼ぶようになつた。両者の合併はGrönblad1)によれば,文献的にangioid streaksの67例中57例(85%)にpseudoxanthoma elasticumを,またScholzは137例中59%に認めたと述べているが,いずれにしてもかなり高率に合併するようである。現在までに多数本症の報告がなされれていて,さほど稀な疾患ではないが,著者らは最近,本症2例を経験し,うち1例は同疾患に両眼の脈絡膜欠損と虹彩欠損,右眼の小眼球症などの眼異常を伴つた比較的稀な例に遭遇したので報告する。

視神経炎に対するIndomethacin (Indacin)の使用経験

著者: 藤江容

ページ範囲:P.1189 - P.1195

I.緒言
 副腎皮質ホルモン系は,すぐれた抗炎症剤であるが,副作用,rebound現象,副腎皮質療法からの離脱の難しさなどの問題をもつているために,最近種々の非ステロイド系のanti-inflammatory agentが再認識され,また研究されてきた1)〜3)
 1—(p-chlorobenzoyl)−5—methoxy−2—methyl indole—3—acetic acid (Indacin)は1963年Shenら4)によつて合成されたanti-inflammatoryagentといわれているインドール誘導体で,眼科領域においては,Perkins (1965)5)がuveitis 57例のうち原因不明26例に使用し,Tuovinen(1966)6)は眼炎症疾患33例に使用している。わが国でも重松氏ら7)(1966),その後二,三の研究者により眼外傷または手術後の炎症症状に対して,明らかに自覚的ならびに他覚的症状が比較的早期に改善されることが報告されている8)9)。Tuovinenの報告によるとrheuma—tic uveitisに著効であり,また4例の視神経炎に使用して1例に効果があつたと記載している。

外眼筋の組織化学的,電子顕微鏡学的研究—I.筋線維型の組織化学

著者: 箕田健生

ページ範囲:P.1198 - P.1202

I.緒言
 外眼筋の形態に関しては従来,解剖学的,組織学的に詳細な研究が行なわれているが,最近めざましく発展した組織化学的および電子顕微鏡学的研究手段がこの領域にも応用されるようになつて,外眼筋の微細構造に関する新知見が次々と報告されるようになつた。著者は数年来,外眼筋の組織化学的,電子顕微鏡学的研究を続け,すでにその一部は内外眼科誌上に報告したが,今回は未発表の知見を中心に外眼筋の微細構造を詳述することにしたい。
 哺乳類外眼筋の筋線維が,組織学的に少なくとも2種類存在するのではないかという疑問は,1931年Woollardによつて初めて提起された1)。彼は兎,猫,犬の外眼筋に大小2種の筋線維が存在し,太い筋線維は単一の運動終板になつて終わる普通の有髄神経によつて支配され,一方細い筋線維は複数の爪状終末を形成する繊細な有髄または無髄の神経によつて支配されていると報告した。しかし同年Hinesは兎の外眼筋神経終末を観察した結果,骨格筋に通常見られる運動終板のみならず,筋線維の長軸に沿つて多数の球状または水滴状の終末を形成する細い有髄神経が存在することを認めたが,この終末(grape-like endings)の機能は運動性よりもむしろ知覚性終末であろうと推論し,Woollardの筋線維支配二型説には否定的立場をとつた2)

家兎の実験的眼感染症に対するCPとBromelainの併用効果について

著者: 葉田野博 ,   萱場忠一郎 ,   玉井春子

ページ範囲:P.1203 - P.1208

I.緒言
 Bromelain (またはBromelin)は,蛋白分解酵素の一つで,パインアップルの果汁または葉茎の絞り汁より抽出されたものである。近年本剤による抗浮腫,抗炎作用が明らかとなり,臨床面に使用され,化学療法剤との併用による報告も多数見られるようになつた。われわれも,今回成熟白色家兎を用いChloramphenicol (CPと略)とBromelain (Brと略)を併用し,家兎の実験的眼感染症に対する効果を検討したので以下にその成績を報告する。

眼科領域におけるPaspatの応用

著者: 二神種忠 ,   斎藤一宇 ,   斎藤三恵子

ページ範囲:P.1209 - P.1213

I.はじめに
 Hirschsohnが気管支喘息にPaspatによる脱感作療法を発表して以来,本邦においても同様の治験報告がみられる。
 現在でも,小児科領域では気管支喘息,皮膚科領域では尋麻疹および湿疹,耳鼻科領域ではアレルギー性鼻炎に対して,Paspatによる治療が行なわれることがある。

第21回臨眼グループディスカッション

視野の会(第5回)

著者: 松尾治亘・他

ページ範囲:P.1215 - P.1218

1.ハームス視野計によるマリオット盲点の測定(第1報)
 すでに古くから,視野およびマリオット盲点の測定についていろいろの研究報告があるが,今回,われわれはTubinger Perimeter (Harms'Perimeter)を用い,一定条件下(背面輝度1asb暗順応30分1asbに対する明順応15分,固視標赤10′,0〜7°まで16asb,9°より100asb,中心部2°赤色4点視標,検査視標白色12′,露出時間1秒,径線は7.5°ずつ特にマリオット盲点上下周辺部は3.75°)の視野,マリオット盲点の位置づけ面積などの測定を行なつた。
 被検者男女計5名の平均値とバラツキを見,次に判断力,観察力の鋭い男女各1名を選び各度ごとに約30〜40回測定し,おのおのの平均値と±2σの範囲(測定誤差範囲)と考えられる地点を決定した。誤差範囲は±0.86〜2.82であつた。マリオット盲点周辺部については誤差がかなり大きく±5.30〜7.20で平均±5.50であつた。

高血圧・眼底血圧

著者: 入野田公穂・他

ページ範囲:P.1219 - P.1224

第1席実験的高血圧症ラッテの網膜血管にみられた変化
 高血圧性眼底病変の現われた網膜のトリプシン消化法を用いた検索の結果を報告する。
 1.実験方法:Wister系Albino Rat♀(体重80〜120g)にGoldblatt法を行ない,1%食塩水を与えて高血圧を発症させ,経過中の血圧最高値が190mm Hg以上の者17例,170〜190mmHg 13例,150〜170mmHg6例,150mmHgに達しないもの8例,無処置高血圧ラッテ15例以上を観察した。

近視(第6回)

著者: 佐藤邇・他

ページ範囲:P.1225 - P.1227

1.近視に関するわが教室の研究に対する質疑に答う
 始めから質問を行なつた。
山地:生理的トーヌスと病的トーヌスとの境は?

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眼科ニュース

ページ範囲:P.1227 - P.1227

「眼と道路交通研究会」第10回
演題募集
会長:松尾治亘
世話人:山地良一

眼・光学学会

眼底の立体写真—特にその観察法について

著者: 三国政吉 ,   藤井青 ,   八百枝浩 ,   栂野光雄

ページ範囲:P.1235 - P.1240

I.緒言
 直像によるにせよ,倒像法にせよ,われわれが通常眼底をみるときは,単眼視することが多い。両眼視により立体的に観察する装置もないこともないが,普通は単眼により観察する方法が行なわれる。
 特殊検眼鏡による立体観察も興味あるものであるが,立体写真によるときは,写真の有する記録性,写実性などの他,長時間の詳しい観察,検討に堪えうる長所がある。これは,生体観察においてはとうてい求めることのできない利点である。

無赤色光眼底撮影法—視紅撮影法

著者: 伊藤寿夏 ,   小沢勝子 ,   水野勝義

ページ範囲:P.1243 - P.1249

I.緒言
 Fundus reflectometryはBrindleyとWill—mer1)によりはじめて試みられ,その後Weale2)やRushton3)が,生体眼の網膜曝光時の視紅の槌色を測定するのに応用した。GlosterとGre—aves4)らは,さらに感度の高い装置に改良して網膜色素変性患者の眼底変化を追求せんとした。その結果,人間の曝光された網膜の槌色現象を連続的に記録することができるようになつた。
 これらの基礎実験から,red-free lightを使用してfundus photographyを行なえば,暗順応と明順応時の網膜の視紅量の差を明確に把握できるのではないかと考え,red-free light fundusphotographyを開発し,正常者,網膜色素変性症患者およびその家族につき試み,その眼底変化を比較検討せんとした。

水晶体の屈折率分布と調節性変化

著者: 中尾主一 ,   藤本蕃 ,   樋口正男 ,   伊藤由起子 ,   永田良 ,   岩田耕一

ページ範囲:P.1251 - P.1256

I.まえがき
 著者らは先にカイウサギ水晶体屈折率分布を光学的位相勾配測定装置ならびにAbbeの屈折計を用いて測定,その水平断面の屈折率分布関数が楕円的放物面で近似されることを発表した1)〜6)
 今回はさらにカイネコ(felis cats)およびミドリザル(cercopithecus aetiopus)の両眼にそれぞれDFPまたはatropineを点眼,水晶体に調節性変化を起こさしめ,その屈折率分布を検討した。さらに水晶体の調節光学モデルを作製,光線追跡により球面縦収差を計算した。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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