文献詳細
眼・光学学会
文献概要
I.序
無水晶体眼の矯正に使われる眼鏡とコンタクトレンズ(以下CL)を比較するとき,光学的にCLは優れた特徴を有するけれども,装用の容易さにおいて眼鏡の使用価値もまた大きい。強度凸レンズのこの種の眼鏡には臨床的ないし光学的に強度凹レンズ眼鏡と異なる問題がある。すなわち強度遠視の無水晶体眼には全矯正の眼鏡を常用させるのに対し,強度近視に使う凹レンズ眼鏡は低矯正とされるのが通例であるし,光学的には,レンズのプリズム作用のために凸レンズ眼鏡を通して見る視野・注視野は狭まり,レンズ辺縁の部に輪状暗点を生ずることや,Tscherning楕円で示されている非点収差を除きうる範囲が凸レンズでは+7.88Dまで,凹レンズでは−24.68Dまでということから,強度凸レンズ眼鏡は凹レンズに比し光学的に改良の余地が残されているともいえる。かつてGullstrandの示唆に基づき非点収差を除くために,非球面カーブを具えた強度凸レンズがKatralレンズ1)と名づけられて,戦前Zeissより発売されたが,このたび日本光学KKにて試作された強度遠視あるいは無水晶体眼用の非球面眼鏡レンズについて検討したのでここに報告する。
無水晶体眼の矯正に使われる眼鏡とコンタクトレンズ(以下CL)を比較するとき,光学的にCLは優れた特徴を有するけれども,装用の容易さにおいて眼鏡の使用価値もまた大きい。強度凸レンズのこの種の眼鏡には臨床的ないし光学的に強度凹レンズ眼鏡と異なる問題がある。すなわち強度遠視の無水晶体眼には全矯正の眼鏡を常用させるのに対し,強度近視に使う凹レンズ眼鏡は低矯正とされるのが通例であるし,光学的には,レンズのプリズム作用のために凸レンズ眼鏡を通して見る視野・注視野は狭まり,レンズ辺縁の部に輪状暗点を生ずることや,Tscherning楕円で示されている非点収差を除きうる範囲が凸レンズでは+7.88Dまで,凹レンズでは−24.68Dまでということから,強度凸レンズ眼鏡は凹レンズに比し光学的に改良の余地が残されているともいえる。かつてGullstrandの示唆に基づき非点収差を除くために,非球面カーブを具えた強度凸レンズがKatralレンズ1)と名づけられて,戦前Zeissより発売されたが,このたび日本光学KKにて試作された強度遠視あるいは無水晶体眼用の非球面眼鏡レンズについて検討したのでここに報告する。
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