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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科23巻12号

1969年12月発行

文献概要

銀海余滴

シネラリアのミステリー

著者: 進藤晋一

所属機関:

ページ範囲:P.1447 - P.1447

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 日本の眼科医が,白内障(殊に外傷性)の薬物療法として愛用しているシネラリア。これが奇怪なことに,アメリカ全土で発売されている薬品の総目録に載つていない。ほとんど日本の電話帳ぐらいはある目録であるから,それに,日本で使用されるようになつてから10年ぐらいにはなるのだから,意外というよりは奇怪なことである。私の知るかぎりのアメリカの眼科医に聞いてみても誰も知らない。「日本では白内障の薬物療法が,そんなに盛んなのか」と皆,目を丸くする。いく種類かの白内障治療薬の存在を話しても,眉唾ものだといつた受け取りかたで,まともには聞いていない。「Dr.Shindoも患者に使用しているのか」とけげんな顔さえする。「私は薬の効果というものには,神経質な位に批判的で,懐疑的なのだが,外傷性白内障に限つて,シネラリアは著効があつたと思われるCaseもある」というようなことを述べても,「しかし,そこに書かれている名の会社は,この総目録にも載つていない。その州にその会社はあるはずがない」と彼らは言う。日本に輸入されるからには,私の常識としては,一応まともで,名も通つている会社の製品と信じたいのだが,しかも,健保で採用され1cc 100円位はする高価薬であるのだが,彼らは一顧をも与えない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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