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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科23巻2号

1969年02月発行

文献概要

特集 第22回日本臨床眼科学会講演集 (その2)

眼瞼縁炎と真菌—Pityrosporum Orbiculareについて

著者: 内田幸男1 平井福子1 大島道1 亀山和子1

所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.221 - P.224

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I.はじめに
 膿疱や潰瘍,痂皮を生じ,睫毛禿を残すような眼瞼縁炎は現在著しく減少した。この型の眼瞼縁炎はブドー球菌などの細菌性のものであるため,抗生物質の普及が減少の一因をなしていると思われる。他方,眼瞼縁が発赤し,皮膚睫毛根部に鱗屑が付着したもの,あるいは眼縁が脂ぎつて光沢を有するもの,このような脂漏性の型の眼瞼縁炎は日常しばしば経験される。同時に軽いカタル性結膜炎の症状を伴うこともある。患者は眼脂の分泌,瞼縁の痒感や不快感を訴える。症状そのものは重篤ではないが根治させることがむずかしい。
 以上のような脂漏性眼瞼縁炎の瞼縁擦過物には直径3〜6μの球形,あるいは大小2個の球が結びついてダルマ型をした真菌が多量に見出される。眼脂の中にもしばしば存在する。われわれは過去,この球状物を真菌胞子と考えてきた。しかし培養を試みても通常の真菌用培地にこの真菌が分離できたことはない。緒方ら1)の難治な真菌性眼瞼縁炎という報告もおそらく同様の経験ではないかと考えられる。この球形物が真菌胞子で病原性のものであれば,その増殖形としての菌糸か栄養細胞が病巣局所から検出されてもよいはずである。しかし事実はこれと異なる。われわれは擦過物に多量に存在しながら培養できないこと,またその形態的特徴から,この球形物はpityrosporum orbiculareでないかと考えた。そこでこの点に関して擦過物検査と培養によつて検討を試みた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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