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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科23巻3号

1969年03月発行

雑誌目次

特集 第22回日本臨床眼科学会講演集 (その3)

The Ocular Carcinoid Syndrome Components—Malignant Carcinoid:Argentaffinoma

著者: H.G.Monninger

ページ範囲:P.278 - P.279

Phaco Emulsification and Aspiration

著者: D.Kelman

ページ範囲:P.280 - P.281

視交叉付近腫瘍症例と視野

著者: 井街譲 ,   井上晃一 ,   可児一孝 ,   梅田充宏

ページ範囲:P.283 - P.293

I.緒言
 神戸大学眼科において開頭した視交叉部付近原発の腫瘍約200例のうち,昭和23年以後20年間の統計に供し得た179例を対象として,術前の視野に焦点をしぼつて視野障害の起こる順序,方向の他,視野障害が直接神経線維に加わる圧迫によるものか,あるいは血行障害に起因するものかという疑問をかかげ,主として下垂体腺腫,頭蓋咽頭腫,髄膜腫の3つの性質の異なる腫瘍について視野の観察を行なつた。

眼部腫瘍の統計

著者: 高橋捷允 ,   服部洋視 ,   セイップクイナム ,   長山理三郎 ,   加藤融

ページ範囲:P.295 - P.300

I.緒言
 眼部の腫瘍に関しては,臨床的にも,病理組織学的にも枚挙にいとまがないほど多数の報告があり,これが統計もまたしかりである。
 今回,昭和31年から40年までの10年間にわれわれの教室で診療した眼部腫瘍患者について調査したので,いささかの私見とともに報告する。

人眼虹彩血管の電子顕微鏡的研究—その年齢的変化を中心として

著者: 山之内守 ,   原正義 ,   樋渡正五

ページ範囲:P.301 - P.306

 著者らは眼における血管変化を系統的に電子顕微鏡をもつて解析することを試み,その一部はすでに報告し,電顕的検索のほかに,血管病変の一解析法としてメテナミン銀の超薄切片への応用が有効であることを確認しているのであるが,今回虹彩血管の経年的変化を同方法を中心として検索し,若干の興味ある所見を得たので報告する。
 第1表は検索した材料を示したものであり,年齢層は胎児期より70歳台に及び,虹彩には肉眼的および細隙燈所見においてまつたく異常なく,また全身的にも病的所見が認められず,既往にも高血圧,腎疾患,糖尿病などに罹患したことのない者を選んだ。第2表は検索方法を示したもので,超薄切片に一般電子染色を行なうとともにさらにカヨウソ酸酸化をほどこしたのち,メテナミン銀染色を行なつて検索した。またその一部は0.5μの準超薄切片を作り,光学顕微鏡的にも観察した。次に虹彩血管の経年的変化をみると,胎児期における虹彩血管の微細構造は,一般電子染色においては毛細血管は薄い内皮細胞におおわれ,プラズマメンブランの直下に比較的大きい0.1〜0.2μの空胞が散在性にみられるが,細胞内小器官の発育は比較的とぼしいのが特徴である。PAM染色をほどこしたものでは基底膜はほとんど無染色であるにかかわらず,基底膜直下および外膜周辺部に膠原線維と思われる微小線維の発育がみられるのが特徴である。

幼児の原発性眼窩悪性腫瘍の2例

著者: 宇山昌延 ,   佐々木嘉彦 ,   菅謙治 ,   岡田京子 ,   丸山光一

ページ範囲:P.308 - P.318

I.はじめに
 小児の眼窩に原発する悪性腫瘍は,さほど多いものではないが,その大部分は肉腫であり,かつ腫瘍の発育がはやく,悪性度がきわめて高いとされている。
 われわれは,最近,小児の眼窩に原発した悪性腫瘍を2例経験し,2例とも,発病後,腫瘍の発育は非常にはやく,予後は不良であった。病理組織検査によつて,1例は,胎児型横紋筋肉腫embryonal Rhabdomyosar—coma,1例は悪性血管内皮細胞腫malignant Heman—gioendotheliomaと診断された。

コンタクトレンズによる角膜中央部上皮のDimplesについて

著者: 水谷豊

ページ範囲:P.319 - P.324

I.緒言
 コンタクトレンズ(以下CLと略す)装用時に,時としてCLの角膜中央部付近に,ちようどゴルフのボールの表面あるいはブドーの房のような,境界のはつきりした多数の小さいくぼみが集まつている所見を認めることがある。そして,そのくぼみには気泡が入り込んでいる(第1,2図)。この所見はすでに1960年F.Dickinson以来数氏によつて報告され,CLに関する参考書には定型的な図が示されている。Norman Bierは著書の中でこの所見を記述し,この症状に伴う視力障害を特にdim—ples veilと称した。また長谷川信六(1964)は,角膜の周辺部ことに角膜の3時および9時位にできるDelleと区別するために,角膜中央部のくぼみをcentral tinydimplesと呼ぶように提唱している。J.M.DixonらはCL装用者のうち,角膜上皮のdimplesを観察した65人について,比較的詳細にその臨床像を述べ,dimples内の気泡についての化学的な小実験を行ない,この気泡が水蒸気飽和の空気であることを証明している。またdimplesの形成については,まず角膜上皮に小点ができ,これらの点が数および大きさを増してからくぼみができる。くぼみが一定の大きさに達すると,瞬目運動によつて気泡が集まり,そこに留まるようになるとしているが,ではこのくぼみがどうして出来るのかについては明らかにしていない。

涙嚢篩骨洞吻合術の経験,およびこれと涙嚢鼻腔吻合術の優劣について

著者: 長嶋孝次 ,   藤沢洋次 ,   兼子裕高 ,   中山千里 ,   奥沢康正 ,   馬場信義

ページ範囲:P.325 - P.336

I.緒言
 われわれの教室が涙嚢鼻腔吻合術(Dupuy Dutemps)(以下D.C.R.と略)を手がけるようになつてから10年近くになる。そして本法は,最近では全国的にもようやく普及のきざしが見えてきた。
 一方,長崎大学耳鼻科後藤敏郎教授1)2)によつて創案せられた涙嚢篩骨洞吻合術(以下D.C.E.と略)が文献3)上に紹介せられてから,すでに10年を経過し,この手術の経験者によつて,その効果はかなり高く評価されている4)〜6)が,まだ歴史が浅いので,一部の人々によつてのみ行なわれているにすぎない状態である。

フルオレスツェインによる房水流出率の臨床的測定法

著者: 増田茂 ,   荻野京太郎

ページ範囲:P.337 - P.339

I.緒言
 房水流出率を臨床的に簡易に測定する確実な方法は,まだ報告されていない。Goldmannのフルオレスツェインを用いて人眼房水流出率を測定する方法が報告されているがはなはだ複雑である。Grant2)のトノグラフィー法による房水流出抵抗の測定法および房水産生量の計算もFriedenwaldが批判したような誤差が含まれている。
 われわれはフルオレスツェインを使用して,比較的簡単に房水流出率を測定しようと試みた。

Cornelia de Lange症候群について

著者: 伊藤健二 ,   安達章子

ページ範囲:P.341 - P.347

I.緒言
 1933年Amsterdam小児科教授Cornelia de LangeはTypus Amst elodamensisと名づけて特異な顔貌(左右連続した眉毛,非常に長い睫毛,上向きの鼻孔,口角の下がつた口唇耳介低位など)および種々の先天奇型(小頭症,短肢症,合指症など),生下時低体重と発育障害,精神薄弱,眼症状などを伴つた症候群の2例を発表した。その後欧米諸国において報告され,また日本においては1963年,奥平などにより小児科集会においてなされた1例報告が最初である。現在までに世界で報告記載されているものは約100例余りであり,そのほとんどが小児科領域におけるものであり,眼科的にも興味ある症状を有しながら,記載はDuke-ElderおよびWaar—denburgらの成書のみであつたが,1966年D.H.Ni—cholsonらによつて眼科における最初の報告がなされた。また本邦では昭和43年9月,第460回東京眼科集談会において横井らが剖検例を報告した。
 従来の報告は,眼症状についてはあまり顧みられなかつたが,今回著者らは4名の患者を診察する機会を得たので,ここに報告したい。

光電池による瞳孔運動記録方法とその臨床応用(第1報)

著者: 窪田靖夫

ページ範囲:P.349 - P.355

I.はじめに
 瞳孔反応,ことに対光反応は眼科臨床において重要な検査項目の一つであり,その健否は診断上大きな手がかりとなることはいうまでもない。したがつて従来多くの検査方法が考案されている。すなわち,映画撮影法,赤外線をもつて機械的に瞳孔面を走査する法,赤外線ビジコンカメラを用いる法,虹彩面よりの反射光を光電池をもつて測定する法などがある。これらの方法にはそれぞれ一長一短あり,いまだ一般に十分普及されるに至つていない。
 著者は今回上述の第四の方法,すなわち光電素子をもつて虹彩面よりの反射光量を測定する方法により,人眼対光反応を記録した。これは1941年Matthes1)により考案された方法で,その後Cüppers2),Alexandridis3),須田4),真柄5)らにより同様な方法による瞳孔運動の研究が報告されたが,臨床応用は比較的少なかつた。わずかに臨床応用としてはAlexandridis u.Dodt6),Pirlichu.Metzig7),Dodt u.Alexandridis8)らの報告があるのみである。本方法は瞳孔運動量の絶対値が得られないという欠点はあるにしても,記録されたpupillogramはきわめて正確に瞳孔反応を表現しており,また,簡易,安価であるという長所をも有しており,今後臨床応用の面できわめて有用な検査法であると考える。よつて今回これにより得た正常眼対光反応および臨床応用の例について報告する。

交通外傷患者と調節機能

著者: 片野隆生 ,   中尾保男

ページ範囲:P.357 - P.362

I.緒言
 近年交通事故が頻発し,その犠牲者も全国的に漠大な数にのぼつている。交通外傷患者の全身的な自覚症状もきわめて多彩で,受傷機転としても雑多なものを含んでいるため,その訴えも多種多様である。その上後遺症が賠償問題と関連し,いつそう複雑化し,社会問題になつている。これら外傷患者について各科においても,その適確な診断,治療に日常悩まされている現状である。そこで,われわれは交通外傷患者に多くの調節障害を認めたので,交通外傷患者の調節機能の分析を試み,興味ある所見を得たので報告する。

先天緑内障の一家系とその眼圧

著者: 井上洋一 ,   井上トヨ子 ,   大西幸子

ページ範囲:P.366 - P.378

I.緒言
 先天緑内障早発型(水眼症)に関しては,近年多くの報告が諸外国で発表されており,先天緑内障の成因,および治療についての研究成果には,めざましいものがある1)〜4)。これに伴つて,これまで若年緑内障という漠然とした定義の中に含めて分類されていた先天緑内障の遅発型を,一つの型の緑内障として分類する傾向が現われてきた5)〜8)。これらの報告では,前房隅角部の臨床的な観察,または組織所見による発生学的な異常を追究して,早発型との比較研究が進められている。そしてこの種の緑内障の成因については,隅角部の分離過程が中途で中止した形成不全であると解釈されている。
 われわれは現在,先天緑内障遅発型の一家系を調査中であり,これらの検査成績治療成績などを順次発表する予定であるが,先天緑内障の眼圧を中心とした臨床像についての報告はほとんどない。今回はこの一家系に見られた臨床的な特徴を紹介するとともに,従来まつたく追究されていない眼圧日内変動を中心に,この種の緑内障の眼圧について述べてみたいと思う。

AC/A Ratioの年齢分布と薬物の影響—ことにPre-Presbyopiaとの関連について

著者: 市川宏 ,   柏木昭二 ,   上林茂 ,   矢地通子 ,   牧治

ページ範囲:P.379 - P.386

I.緒言
 老視の発現過程には,水晶体の硬化,毛様筋の機能低下,網膜の黄斑領域の色素沈着などが関与して多様であり,近視発生過程のさかんな研究に比べてまだ研究法上さえ模索の段階にある。しかし少なくとも水晶体の硬化が主役を演じていることは想像にかたくない。しかし老視に起こるおもな変化を水晶体の弾性変化に限つて考えてよいか,毛様筋のinnervationあるいはresponseにも変化が生じているか重要な問題である。近年主として米国において,調節刺激に対応する調節性輻湊の研究がAC/A ratioを中心にさかんになるにしたがい,生涯ほぼ恒常的と考えられていたAC/A ratioの年齢変化が問題になつてきている。
 われわれは,pre-presbyopiaの時期にしばしば現われる眼精疲労軽減の目的に低濃度pilocarpinを主剤としたES点眼薬を使用する機会を得たのを契機に,AC/A ratioの年齢分布と,pilocarpin作用前後のAC/A ratioの変化について検討したので報告する。

眼心身症を伴う仮性近視

著者: 栗本晋二

ページ範囲:P.387 - P.393

I.緒言
 神鳥教授1)は日本眼科紀要に,今までの近視に関する研究,諸説は形而上のことのみを論じていて,精神的要素を取り上げていないうらみがある。従来仮性近視とされていたもののうちには,精神神経症視力障害が含まれているのではないか。学校近視の一重要因子として精神神経症を入れるべきであると述べている。著者はこの神鳥教授のいう精神神経症による近視が実際に存在するか,存在するとすればいかなる頻度において出現するか,さらにその治療はいかなる方法がよいかを明らかにする目的で調査を行なつたのでその結果を報告する。

佐藤邇氏は後天近視の近業原因説を主張しうる根拠を有するか

著者: 大塚任

ページ範囲:P.395 - P.398

I.緒言
 本年4月の学会で,私は近視の宿題報告を担当したが,そのさい時間の関係もあり,佐藤邇氏の近視論について討論を十分しなかつた。ところがその後の学会誌に扱われた論評など見ると,会員の多くはまだ十分この近視論の弱点について理解していないと思われるので,昭和29年の本会のシンポジウムで指摘したことに幾分補足して,再度この演題についてお話ししたい。

連載 眼科図譜・136

先天性風疹症候群の網膜症

著者: 生井浩 ,   大島健司 ,   植田浩司 ,   武末正義

ページ範囲:P.275 - P.276

 先天性風疹症候群とは,母親が妊娠初期に風疹に罹患し,その結果生れてくる子供に先天性心疾患,難聴,白内障を含む種々の眼の異常およびその他諸臓器の先天異常をきたしたものをいう。1941年にオーストラリアのGreggが初めて報告を行なつた。最近では1964年北米に起こつた大流行の調査の結果から,さらに他の諸症状が付け加えられている。眼症状の発現頻度が高く,その中でも,白内障,小眼球,網膜症の三つがもつとも多く,ほかに比較的まれではあるが,緑内障,角膜混濁,虹彩異常,斜視,眼球振盪,涙道閉鎖などが記載されている。わが国においては先天性風疹症候群の報告は少なく,わずかに10例余にすぎない。特に網膜症については,当教室において発見された2例と,東京で見出された1例の報告があるにすぎない。

臨床実験

化膿性強膜炎の1例

著者: 進藤晋一

ページ範囲:P.403 - P.405

I.まえがき
 化膿性強膜炎は,日常少ない疾患に属するが,現今のように抗生物質,その他の化学薬剤の発達,普及するに及んでは,むしろまれな疾患になつているようである。最近,著者はその1例に遭遇したので,ご参考に供したく思う。

Intebanの眼科領域における使用経験

著者: 丸山忠信 ,   古作醇一 ,   北野周作

ページ範囲:P.407 - P.410

I.はじめに
 副腎皮質製剤の卓効の反面における重篤な副作用が,改めて認識されており,これに代わるいわゆる非ステロイド性抗炎剤の開発が盛んに行なわれている。
 その一つとして抗炎症,鎮痛,解熱作用のあるIndomethacinが各科領域を通じて広く用いられつつあり,すでに眼科領域でも二,三の報告がみられる。

平面平行ガラスを用いる眼底の立体撮影について

著者: 三国政吉 ,   八百枝浩 ,   藤井青

ページ範囲:P.411 - P.418

I.緒言
 眼底は平面でないから,これを立体写真でみることはたんに教育的であるということにとどまらず,診断上にも大きな意味のあることである。
 眼底立体撮影の歴史は古くThorner (1909)にさかのぼる。しかし,これが実用化されたのは比較的近年のことで,Allen (1964),Donaldson(1965)の業績に負うものが多い。しかしこれらはただ撮影方法を記するにとどまり,理論的考察の何もなされていないのはたいへん遺憾なことである。よつてわれわれはこれを幾何光学的に考察し,最大立体効果を得る方法,これによる眼底の立体計測法,さらに眼底等高線図作製法などについて報告してきた次第である。

眼圧と眼圧日内変動陽性率

著者: 小島克 ,   中村泰江 ,   渡辺憲子

ページ範囲:P.419 - P.423

 須田法(−)のものの中で,日内変動(−)のものに対して(+)の率を示す。すなわち須田法(−)×日内変動(−)に対する日内変動陽性率である。純日内変動陽性者(D)というべきである。
 眼圧群は,(A)25〜20mmHg,(B)18〜14mmHg,(C)13mmHg以下とする。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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