icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科23巻3号

1969年03月発行

文献概要

特集 第22回日本臨床眼科学会講演集 (その3)

人眼虹彩血管の電子顕微鏡的研究—その年齢的変化を中心として

著者: 山之内守1 原正義1 樋渡正五1

所属機関: 1日本医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.301 - P.306

文献購入ページに移動
 著者らは眼における血管変化を系統的に電子顕微鏡をもつて解析することを試み,その一部はすでに報告し,電顕的検索のほかに,血管病変の一解析法としてメテナミン銀の超薄切片への応用が有効であることを確認しているのであるが,今回虹彩血管の経年的変化を同方法を中心として検索し,若干の興味ある所見を得たので報告する。
 第1表は検索した材料を示したものであり,年齢層は胎児期より70歳台に及び,虹彩には肉眼的および細隙燈所見においてまつたく異常なく,また全身的にも病的所見が認められず,既往にも高血圧,腎疾患,糖尿病などに罹患したことのない者を選んだ。第2表は検索方法を示したもので,超薄切片に一般電子染色を行なうとともにさらにカヨウソ酸酸化をほどこしたのち,メテナミン銀染色を行なつて検索した。またその一部は0.5μの準超薄切片を作り,光学顕微鏡的にも観察した。次に虹彩血管の経年的変化をみると,胎児期における虹彩血管の微細構造は,一般電子染色においては毛細血管は薄い内皮細胞におおわれ,プラズマメンブランの直下に比較的大きい0.1〜0.2μの空胞が散在性にみられるが,細胞内小器官の発育は比較的とぼしいのが特徴である。PAM染色をほどこしたものでは基底膜はほとんど無染色であるにかかわらず,基底膜直下および外膜周辺部に膠原線維と思われる微小線維の発育がみられるのが特徴である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?