icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科23巻4号

1969年04月発行

特集 第22回日本臨床眼科学会講演集 (その4)

老視年齢における調節機能と薬物の影響

著者: 鈴村昭弘1 谷口正子1

所属機関: 1名古屋大学環境医学研究所

ページ範囲:P.477 - P.494

文献概要

I.はじめに
 近年平均寿命が急速に延びたことによつて,老年病の問題は大きな課題となつてきている。眼科領域においても多数の高年者眼疾患がこれと関連してくる。老視もまたこのうちの一つとして,特に実際の活動に相当な障害となる場合も十分考えられる。これらのことはすでに寺本氏ら1)が報告するごとく,老視年齢において眼精疲労の訴えが多いことなどからもうかがい知ることがてきる。
 老視の原因については一般的には水晶体弾性の変化によると考えられてきている。しかしながら川路能利子氏2)は老視年齢における調節機能の微妙さについて報告した。那須晃3)は調節機能の変化からみると35歳にして老視現象は発現する。萩野鉚太郎,鈴村昭弘4)は,H・S自記眼精疲労計によつて老視については特有の調節の機能状態が認められる。さらに寺本ちづ子氏は種々な薬剤との関係の上において検討し,水晶体の要素に毛様筋の要素も加味されていることを強調し,Donders, FuchsWeeks-Mebf,三木らの説に賛成すると報告している。Fincham5)もまた老視現象は水晶体質の硬化によつて説明できるが毛様体筋が年とともに衰弱することも無視できないと述べた。Ogleも老視者がいくら調節を努力しても予期した調節量の変化が期待できないという慣習の蓄積が,必要な調節量に対する調節刺激をおこたるようになるのではないかと述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら