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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科23巻6号

1969年06月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・139

著明な黄斑部変性を伴つた網膜色素線条—付:螢光眼底所見

著者: 松山道郎

ページ範囲:P.781 - P.782

 典型的な眼底所見,ことに右眼黄斑部の著明な円板状嚢腫様変性竈などよりWildiのいう第3期に属するもので,また螢光眼底所見より網膜・脈絡膜barrierの病変存在が想定された症例を紹介する。

臨床実験

2色閾値法による色覚検査—(第1報)検査器の試作

著者: 藤井徹 ,   池田光男

ページ範囲:P.783 - P.789

緒言
 1961年にR.M.Boyntonらは2色閾値法を用いた色覚検査器を考案し,正常者,第一色覚異常者,および第二色覚異常者の分類ならびに色覚異常の程度の分類が可能であることを発表した1)。われわれは今回この方法を用いて臨床検査を目的とした色覚検査器を試作し,二,三の実験を行なつたので,その理論構造とともにここに報告する。

ザルコイドージスの眼底像

著者: 小島克 ,   粟屋忍 ,   小口宣夫

ページ範囲:P.790 - P.793

緒言
 ザルコイドージスの症例は数多く報告されているが,今回眼底に生じた変化の経過を追つて視力の改善を見た例について報告する。

直視型圧迫隅角レンズの試作

著者: 中村泰久

ページ範囲:P.795 - P.799

I.緒言
 狭隅角に対して,隅角を開大して観察しようとする試みは,従来,諸家によりいくつかの方法が考えられ,なされてきた。その中で,角膜に圧迫を加えることにより房水の移動をはかり,隅角へ移動した房水によつて虹彩根部を押し下げて,その後方にかくされた癒着などの所見を観察するという考えは特にすぐれている。私は直視型隅角レンズにこの原理を応用し,実用に耐え得るレンズを試作したので,ここに報告する。なお,この原理を応用した隅角検査法は,岩田氏が,「圧迫ゴニオスコピー」と命名しているので,これに従うこととする2)

網膜循環障害時のERDG—Carotid-Cavernous Fistulaの1例

著者: 宇佐美恵美子 ,   霜鳥政光

ページ範囲:P.801 - P.809

I.緒言
 1967年Henkes&Usami1)2)が発表した新しいタイプのSuction-Cup電極を用いるERDGは,網膜循環障害をきたす疾患において,その網膜機能を知る有力な手段である。
 先に著者は網膜静脈血栓症,黄斑変性,動脈硬化症のERDGについて報告した1)2)3)が,今回Carotid-cavernous fistulaの症例で内頸動脈結紮術施行後にERDGを行ない,興味ある知見を得たのでここに報告する。

角膜新生血管に対する酸素球結膜下注射の効果

著者: 平野潤三

ページ範囲:P.811 - P.815

I.はじめに
 角膜移植の最大の敵は侵入血管である。もしこれを抑える的確な方法があれば,移植術の適応は大幅に拡大し,その手術成績は飛躍的に向上するだろう。これまでにも,角膜新生血管にさまざまな手段が試みられているが,近時,酸素の球結膜下注射が臨床的に有効と報告されている8)11)12)。実際そのとおりならば,大いに普及すべきであろう。一方,角膜新生血管がanoxiaによることは明らかなので,この方法はまことに合理的と思える。しかし球結膜下に置かれた気状の酸素が,はたして損傷された角膜によつて十分に利用され,その酸化代謝障害を改善し,新生血管阻止に役立つだろうか。この点を明らかにするために次の実験を行なつた。

眼圧と須田陽性率について

著者: 小島克 ,   中村泰江 ,   池山恵子 ,   松本啓子

ページ範囲:P.817 - P.819

I.はじめに
 眼圧25mmHg以下の者についての須田陽性率の関係を調べた。
 須田陽性率は,陰性者に対する比で扱つた。検査群を,A (25.8〜20mmHg),B (18.9〜14.6mmHg),C (13.4〜11.2mmHg)に分けてある。すなわち須田陽性発生率である。

眼・光学学会

第4回眼光学学会パネルディスカッション

ページ範囲:P.821 - P.824

 小沢(興和)午前中に発表したHand slit lampの解説に二,三つけ加える。
 Hand slit Jampはカールツァイスでも造つていたが現在は中止している。理由はあまり受け入れられなかつたとのことであつた。

キーラー弱視レンズ長期使用者の使用状況

著者: 湖崎克 ,   中山周介 ,   岩井寿子

ページ範囲:P.827 - P.831

I.緒言
 弱視レンズがわが国に紹介されて数年になる。特にKeeler社LVAの弱視レンズはその種類の豊富さで,わが国に最も多く用いられている。しかし,意外にその普及が遅々としている現状は誠に残念なことで,その理由として考えられていることは,弱視レンズが視覚障害者リハビリテーションにいかに有用であるかが,眼科医,福祉関係者,障害者自身にあまり知られていないこと,弱視レンズが高価であること,弱視レンズが光学的補助具としての欠点を克服するための,使用についての指導方法が確立していないことなどがあげられる。
 昭和42年8月1日より,弱視レンズ眼鏡型(以下弱視眼鏡と略す)が,身体障害者補装具として適用され,大部分が無償で給付されることになり,眼科リハビリテーションの今後に大きな期待がもてるようになつた。

手持式オリンパス眼底カメラ(PRC)について

著者: 三国政吉 ,   岩田和雄 ,   八百枝浩 ,   藤井青 ,   霜島正 ,   多崎敏雄 ,   坂元悟

ページ範囲:P.834 - P.838

I.緒言
 眼底カメラは現代の臨床医学においては欠くことのできないもので,応用価値はきわめて大きい。その技術開発には近年目覚しいものがある。
 眼の光学系はあまり高級なものでなく,ほとんど単一レンズと考えてよい。したがつて眼底カメラのレンズ系の性能をむやみに上げても意味がない。現在各種眼底カメラが市販されているが,そのいずれをとつてもほとんど類似した画質の眼底写真を得ることができる。

第22回臨眼グループディスカッション

医原性疾患

ページ範囲:P.843 - P.845

 Ethambutol中毒による眼障害例の長期観察例
           玉井 嗣彦(松江市立病院)
 昨年臨床眼科当グループディスカッションで発表した2例の眼障害例のその後の経過について発表した。
 36歳男子例では,服用中止後1年4カ月を経過した今日,なお視力の回復をみず,両側の視神経萎縮をみる。視野は絶対暗点の消失をみたが,色視野の測定は不能であつた。ERG検査において,依然としてsubnormaltypeと律動様小波の消失をみた。600mμ付近の単色光ERGにおいて,いわゆる2谷a波を認め,網膜合併症の存在は否定できなかつた。網膜感電力測定検査においては,Ⅲの網膜感電力指数を示した。

網膜と視路の電気現象

ページ範囲:P.847 - P.851

ERGのArtifact
○田村 修・三河隆子・長山厚生(徳島大)
 光刺激後約50msecのところに現われるERGのar—tifactについて報告した.このartifactは日本光電製のMSP−2Rを用いた時に現われ,その原因を追求すると発光管のtrigger用relayが切れる時に一致することがわかり,このrelayとpuls transformerのために発生するものと思われる。その防止策として,この回路にsilicone diodeを4個入れればartifactは非常に小さくなるが,理想的には発光管を入力から遠く離し,光をglass fiberで導くのがよいと述べた。
 杉町 condensorを用いても同じようなartifactを消すことができる。

遺伝性眼疾患 特に網膜色素変性(第6回)

ページ範囲:P.853 - P.856

Coekayne症候群の1剖検例
土方 文生(秋田中央病院)
早川 宏道(由利総合病院)
清宮輝夫・武井洋一(東北大)
  広岡 豊・大野 忠・石館卓三(秋田中央病院)
 先に報告した本症3例の中1例が死亡したので剖検,次のごとき所見を得た。
 臨床的には,内斜した眼位,斜視,老人様顔貌,小頭,知能障害,網膜色素変性(塩胡椒散布状),視束萎縮,皮膚の日光過敏,全身の早老様症状,侏儒,腎変化などを認めた。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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