文献詳細
文献概要
臨床実験
色順応を用いたフリッカー法による色覚検査
著者: 浦久保光男1 池田光男1
所属機関: 1ミノルタカメラ研究部
ページ範囲:P.959 - P.963
文献購入ページに移動I.緒言
色覚正常者に特有の性質として,選択色順応(selective chromatic adaptation)というのがある。たとえば,赤の順応光を与えると赤領域における感度が他の領域,たとえば緑領域における感度よりもずつと低下するという性質である。あるいはまた,緑の順応光を与えると,逆に緑の領域における感度が赤の領域のそれに比してずつと低下するのである。この選択色順応の性質は,正常者が赤と緑の領域にそれぞれ別個の色感機構体を有していると考えれば理解できる。一方,色覚異常者は赤緑の領域でただ1個の機構体のみしか有せぬと仮定するならば,正常者に見られた選択色順応の現象は存在せぬことになり,赤で順応しても緑で順応しても,分光感度は赤緑の領域で一様に低下すると考えられる。実際そのような資料は多く報告されている1)2)。
Boyntonらは選択色順応の有無が色覚異常の検出に役立つことに着目して,2色閾値法を採用した色覚検査法を発表している3)。また本邦では藤井ら4),および深見ら5)の試みが発表されている。
色覚正常者に特有の性質として,選択色順応(selective chromatic adaptation)というのがある。たとえば,赤の順応光を与えると赤領域における感度が他の領域,たとえば緑領域における感度よりもずつと低下するという性質である。あるいはまた,緑の順応光を与えると,逆に緑の領域における感度が赤の領域のそれに比してずつと低下するのである。この選択色順応の性質は,正常者が赤と緑の領域にそれぞれ別個の色感機構体を有していると考えれば理解できる。一方,色覚異常者は赤緑の領域でただ1個の機構体のみしか有せぬと仮定するならば,正常者に見られた選択色順応の現象は存在せぬことになり,赤で順応しても緑で順応しても,分光感度は赤緑の領域で一様に低下すると考えられる。実際そのような資料は多く報告されている1)2)。
Boyntonらは選択色順応の有無が色覚異常の検出に役立つことに着目して,2色閾値法を採用した色覚検査法を発表している3)。また本邦では藤井ら4),および深見ら5)の試みが発表されている。
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