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眼・光学学会
タイ人と日本人の眼屈折要素の比較
著者: 木村健1 紺山和一1 中島章1 中川治平2
所属機関: 1順天堂大学医学部眼科学教室 2オリンパス光学株式会社
ページ範囲:P.1087 - P.1093
文献購入ページに移動屈折異常の成因については,遺伝的素因の占めの役割は大きいと考えられ,そして,それに環境る影響が加わつたものと解釈しても過言ではない。事実,明らかに屈折異常の頻度に人種差が見られ,日本人や中国人に近視が多く,白人には少ない。また,アフリカの住民では近視はまれだといわれている。
このように,屈折異常の分布に人種差が生じたのはなぜか,ということについては,遣伝学の立場からもいろいろ論じられているが,眼科の立場からも,屈折異常の成因の解明の一端としてとり上げるべき問題であろう。日本人の眼屈折と,他民族のそれとの比較は,文献上のみでは不十分であり,また,屈折要素にまでわたつて比較検討する必要がある。そして,完全なことを望むならば,世界中のあらゆる民族について調べなければならないが,それは不可能なことである。しかし調べ得るところから一つ一つのデータを積み重ねることによつて,一歩ずつ目的に近づくとができる。このような意味で,われわれはタイ人の屈折を調べる機会を得たので,日本人の屈折と比較検討した結果をここに報告する。
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