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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科24巻1号

1970年01月発行

文献概要

連載 眼科図譜・146

網膜芽細胞腫(Retinoblastoma)保存療法の成功した1例

著者: 清水昊幸1 塚原重雄1 佐藤千里子1

所属機関: 1東京厚生年金病院眼科

ページ範囲:P.5 - P.6

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〔解説〕
 両眼の網膜芽細胞腫(Retinoblastoma;網膜膠腫,Glioma)は従来両眼摘出が唯一の治療法と考えられる向きが多かつた。
 しかし,本腫瘍は網膜に限局している期間が長く,その期間は転移を起こしにくいし,放射線感受性が高く,十分の線量を照射すれば治癒に導くことが可能である。加えて化学療法剤や光凝固法など有力な治療方法が新たに開発され,今や両眼網膜芽細胞腫のさい,片眼は視力を保存して治療することが欧米では常識になつている。本症例は,3カ月の男児で両眼に網膜芽細胞腫を見,はなはだしく進行した1眼は摘出したが,他眼に生じた3個の小腫瘍は上記の種々な治療法を組み合わせて治療した。患者は今日生後満1年に近く,全身状態良好に発育しており,体重も9kgに達した。視力の測定はできないが,日常行動は健常児のそれと全く変わりなく,玩具などを手渡しても正確にこれをつかみ,良好な視力が保たれていることを示している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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