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特集 第23回日本臨床眼科学会講演集 (その1)
再移植を行なつた角膜の組織所見
著者: 弓削経夫1 根来良夫1
所属機関: 1京都府立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.109 - P.111
文献購入ページに移動角膜移植は眼科臨床の上でしだいに普遍的な手術となりつつあるが,その合併症の多いことでは今日の眼科手術の中でも,最上位に位するであろう。その中でも移植角膜片の混濁は非常に多いもので,その発生機転については多大の関心が寄せられ,多くの実験がなされているが,なお明らかでない。
Maumenee1)は,その混濁をimmediate cloudingとdelayed opacificationとに分けている。前者は,術後3週以内に起こるもので,創の接合不全や移植角膜片の状態など,主として技術的な問題に帰しており,後者のdelayed opacificationについては,抗原抗体反応を一つの大きな原因とみているようである。この抗原抗体反応が混濁に対して占める役割の重要さは広く信じられ,角膜移植の実験的分野においても,抗源抗体反応を主題としたものがほとんどを占めている。
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