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臨床実験
網膜芽細胞腫(Retinoblastoma)保存療法の成功した1例
著者: 清水昊幸1 塚原重雄1 佐藤千里子1
所属機関: 1東京厚生年金病院眼科
ページ範囲:P.139 - P.143
文献購入ページに移動両眼の網膜芽細胞腫(Retinoblastoma;網膜膠腫,Glioma)の患者の1眼を摘出し,病理組織検査を行ない,転移の恐れのない場合,他眼を放射線療法などで保存的に治療することは,つとに1930年代から,StallardやReeseにより行なわれて,かなりの成功率を示している。かくて欧米では両眼の網膜芽細胞腫の1眼を保存療法することは,今や常識となつているが1),わが国では,同様の試みが行なわれた例もあるとはいえ2)3),まだ保存療法が広く行なわれているとはいいがたい。著者らはここに報告する症例を取り扱つた経験および外国文献に見られる保存療法の成功率から見て,わが国でも積極的に保存療法が実行されるべきだと考える。ここに症例を報告し,あわせて網膜芽細胞腫の保存療法の問題点を検討するゆえんである。
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