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臨床実験
Carbacholによる原発緑内障の治療経験
著者: 北沢克明1 後藤いづみ1 中村千春1 冠木敦子1
所属機関: 1千葉大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1403 - P.1408
文献購入ページに移動Carbachol (carbaminoylcholine chloride)は古く1933年Velhagenによつてはじめて緑内障治療に使用され,その副交感神経刺激作用(pa—rasympathomimetic action)により縮瞳とともに眼圧下降をきたすことが報告された1)2)。本邦では,1944年庄司・相沢により緑内障治療に導入されたが3),その後カルピノール(carpinol)の名で商品化され,その抗緑内障薬としての有用性については,いくつかの報告があるが4)5),最近はあまり用いられていない。
Carbacholは溶溶性を欠くため,単なる水溶液として製剤せられたカルピノールは角膜透過性が不良で,その効果も不定であつたと推定せられる。1942年O'Brien and Swan6)は塩化ベンザルコニウムのようなwetting agentを0.03%添加することにより水溶液中のcarbacholの角膜透過性が著明に亢進する結果,同濃度の単なる水溶液に比して著明な眼圧下降作用を示すことを見出した。
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