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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科24巻12号

1970年12月発行

文献概要

特集 緑内障

房水の産生と流出について—トノグラフィーの問題点

著者: 三島済一1

所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1457 - P.1470

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I.はじめに
 眼房水の産生と流出,眼圧に関する生理とその病態は,純粋に生理学的な立場からも,また緑内障の病態を理解するという立場からも,多くの人の興味をひき,その研究発表はぼう大な数にのぼる。1930年代の後半から1950年までの10年あまりの間に,房水の産生量,眼圧,房水の排出経路とその機構などに関する定量的な研究が成功し,これらの生理がかなり理解されるようになつた。眼圧が房水産生と流出のバランスによる動的平衡の結果であるとする考えが,数式化されて定量的な表現となり,これにつれて房水の1分間あたりの産生量,その流出抵抗,またはoutflow facility,Ocular Rigidity Coefficientなど,いくつかの基本的概念が導入された。このような時代の背景のうちに,眼圧計製作上の技術的進歩と相まつて,われわれのもつTonographyなる臨床的技術を生み出し,眼圧,房水産生に関する研究が現代に入る。
 その後Tonographyの基本的問題に対する反省も含めて,房水の産生と流出に関する研究が盛んになり,新しい概念や技術も導入され,われわれの知識は豊富になるとともに複雑になつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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