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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科24巻12号

1970年12月発行

文献概要

特集 緑内障

薬剤治療の限界と手術

著者: 湖崎弘1

所属機関: 1湖崎眼科病院

ページ範囲:P.1471 - P.1479

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I.緑内障の治療原則
「緑内障は眼圧上昇と視神経循環不全の両者から視機能障害を起こす疾患である。したがつて治療も両者に対して行なわねばならぬ」
 緑内障,すなわち眼圧上昇との考えが最初の定義であり,Mackenzie (1830)は眼圧の病的充進状態を意味し一時的眼圧上昇も緑内障と考えた。それが時代とともに変わり,Thiel (1931),Sugar (1957)では眼内圧が上昇したからといつてただちに緑内障とはいえない。眼圧上昇により組織に変化を生じ視機能に永続的あるいは一時的障害をきたしたものが緑内障であると変わつてきた。つまり単なる眼圧上昇のみを緑内障から分離したのである。(Ocular Hypertension,Perkins 1966)。次に眼圧が常に正常範囲にあるが緑内障特有の視神経の変化,視野異常のあるものが多数発見されるに至り,これも緑内障と考えざるをえなくなつた(低眼圧緑内障)。かくして定義も変わり,Eriedenwald (1949)では緑内障とは眼圧が眼の永久的健康と機能とに抵触しない圧--normative pressure (健常眼圧)を越えたために起こる一つの疾病群であるとなり,須田経宇(1949)では緑内障とは眼圧調整機能障害により眼圧が健常眼圧を超えて上昇し,したがつて視機能障害と解剖学的変化を伴つた眼疾患であるということになつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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