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特集 緑内障
先天緑内障晩発型(Developmental Glaucoma)の隅角所見に関する2,3の問題
著者: 井上洋一1 井上トヨ子1
所属機関: 1オリンピアクリニック眼科
ページ範囲:P.1507 - P.1512
文献購入ページに移動developmantal glaucoma (DG)の病因が,隅角部の発生異常によることは周知の事実である1)〜3)。このDGには,早発型(いわゆる先天緑内障,水眼症)と,晩発型(いわゆる若年緑内障)の大部分が含まれる。ここで若年緑内障の大部分と述べたのは,若年緑内障にはDG晩発型のほかに単性緑内障の早発型が含まれるであろうからである4)。
さて,DG早発型はその特異な臨床像と数多くの研究が相まつて,その診断も容易になつている5)6)。しかるに,晩発型については単性緑内障早発型とともに,若年緑内障に含まれていたために,その臨床像を追究した報告も少なく,系統的な研究もあまり多くない。若年者の眼球を摘出して,組織学的にこの種の緑内障を検索する機会が少なかつたことにもよるが,臨床的にもこの種の緑内障の診断に当たつて隅角所見の基準が明確でなかつたことにもよる。このために,DG晩発型を単性緑内障と誤つて報告されている場合が多い。ことに,単性緑内障の遺伝家系,または水眼症と単性緑内障が同一家系に現われた遺伝例などの報告の大部分は,DG晩発型ではなかつたかと著者らは考えている。
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